<阪神JF>◇8日=京都◇G1◇2歳牝◇芝1600メートル◇出走18頭
岩田望騎手の2つの判断がアルマヴェローチェの勝利を引き寄せました。1つは3コーナーの坂の上り。他馬がポジションを上げるなか、焦らずに1列ほど位置を下げました。その“ひとため”が効いたことは、ペースに見合わない結果が証明しています。
前後半、半マイルずつのラップは46秒5-46秒9と平均ペース。普通は前の馬が踏ん張る流れですが、馬場が荒れていた影響もあったのか、先行集団ではテリオスララが5番手から3着にきた以外、馬券に絡めませんでした。岩田望騎手のあのひとためが、最後の差し切りにつながりました。
もう1つは進路取り。前述の通り、かなり芝の内側は荒れていましたので、接触もありながら馬場の一番いい外へ出した判断も見事でした。G1は未勝利だったとはいえ、普段の勝ち鞍は伸ばしていた若手のホープです。さすが、京都芝外回りの勝ち方を知っているな、という騎乗でした。
父の康誠騎手とは、追う時のフォームこそちょっと違いますが、歩く姿などはそっくりです。小さい頃から父の騎乗、勝利する姿も見てきたのでしょう。“習わぬ経を読む”といいますが、小さい頃から競馬を見る環境、乗馬をする環境にあると、自然と身についているものがあります。武豊騎手もそうでした。勝負の世界は何かきっかけをつかむとポンポンといくものです。今後の岩田望騎手のG1騎乗が楽しみです。
1番人気ブラウンラチェットは16着。好位からひと伸びという理想的な競馬をする馬が、序盤から進みませんでした。パドックでは腹が上がったなという印象でしたし、もともと小柄ですから、やはりマイナス12キロがこたえたのでしょう。大人びた競馬ができる馬ですので、体がふっくらして体調が戻れば、また絶対に走ってくると思います。
2着ビップデイジーは過去2戦と同様、いい脚で伸びてきました。最内枠から直線は外へ、幸騎手のスムーズな進路取りが光りました。(JRA元調教師)