香港国際4競走が日曜(8日)に近づきました。11月17日に行われた3つの前哨戦はいずれも速いタイムで決着しています。今週もシャティン競馬場に雨が降る可能性は少なく、欧州の軟らかな馬場で好成績を挙げてきた馬には不向きな舞台となりそうです。
ここでは筆者が選んだ、それぞれのレースの本命馬(3連単、3連複の軸馬)を紹介しましょう。
【香港ヴァーズ】
桜花賞馬ステレンボッシュ(牝3、国枝、父エピファネイア)に◎を打ちました。オークスは2着でしたが、2400メートルでこそ能力を発揮するタイプ。他より4キロ軽い53キロと重量面でも恵まれ、鞍上に配されたジョアン・モレイラ騎手も過去に日本馬とのコンビで、このレースに3勝と信頼が置けます。積極的に先行する馬が見当たらず、スローペースになりそうですが、後方から豪快に突き抜けるシーンを思い描いています。
【香港スプリント】
11月17日に行われたジョッキークラブスプリント(G2、芝1200メートル)を香港レコードを更新する1分7秒43で駆け抜けたカーインライジング(セン4、D・ヘイズ、父シャムエクスプレス)が◎です。前哨戦はザカリー・パートン騎手を鞍上に3番手を進み、直線豪快に伸びて優勝。ライバルが霞む圧倒的な走りを見せました。これで10戦8勝、2着2回。昨シーズンはシーズン中に最もレーティングを上げた馬に贈られる最高成長馬と、主に香港デビューの3歳馬を対象とする最優秀グリフィンをダブル受賞。ここ2戦は昨シーズンの最優秀短距離馬に輝いたカリフォルニアスパングルをまったく寄せつけず孤高の走りを披露するなど、香港短距離界の主役に駆け上がっています。この日で一番堅い本命馬と言えるかもしれません。
【香港マイル】
このカテゴリーの絶対王者だったゴールデンシックスティの引退で、上位拮抗となっています。◎には春のG1チャンピオンズマイル(芝1600メートル)を制したビューティーエターナル(セン6、J・サイズ、父スタースパングルドバナー)を選びました。昨年までは中団、もしくは後方に構えて差す競馬をしていましたが、ワンパターンの競馬に馬が飽きてきたことを察したザカリー・パートン騎手の判断で、チャンピオンズマイルから“逃げ”に脚質転換。成果を挙げました。前哨戦の惨敗で人気を落としていますが、重要なところで最大の力を発揮するのが、この馬の良いところ。展開の利を味方に直線で二の脚を繰り出すシーンが見られそうです。パートン騎手は過去にこのレースで4勝、サイズ調教師は13年のグロリアスデイズ以来の優勝をめざしています。
【香港カップ】
前哨戦のジョッキークラブカップ(G2、芝2000メートル)を楽勝したロマンチックウォリアー(セン6、C・シャム、父アクラメーション)が◎です。昨シーズンはオーストラリア2戦、日本での1戦を含み6戦5勝。10月のG1コックスプレート(芝2040メートル、ムーニーヴァレー)で劇的勝利を飾り、香港に戻ってG1香港カップ(芝2000メートル、シャティン)、G1香港ゴールドカップ(芝2000メートル、シャティン)、G1クイーンエリザベス2世カップ(芝2000メートル、シャティン)を3連勝。6月の安田記念ではナミュールやソウルラッシュを退けて優勝、昨シーズンの香港年度代表馬、最優秀中距離馬、最高人気馬に輝きました。陣営はこのレースの3連覇を織り込み済みで、来春に予定される中東遠征に夢をはせています。前哨戦快勝の翌日(11月18日)に中東遠征に必要なワクチン接種を受けた影響で2日間馬場入りを控えましたが、すぐに回復。今週火曜には同厩舎のビクターザウイナー(スプリント出走)
と併せて3馬身半先着と臨戦態勢を整えています。(ターフライター奥野庸介)
※競走成績などは2024年12月6日現在