30日間で3700キロをE-Bike(YAMAHA WABASH-RT)で走り切り、佐多岬~宗谷岬の日本縦断を果たした、旅行家藤原かんいち。前例のないE-Bikeによるチャレンジ。運動不足の61歳の中年男にできるのか!? 一体どんな旅だったのか!? 激動の30日間を旅日記で振り返ります。
■Day28 2022/06/12
朝、6時前、まもなく船が苫小牧入港の放送が流れる。準備を整えて、E-Bikeを置いている車両甲板へと向かった。いよいよ北海道、ゴールが遠くに見えてきた。フェリーから出るとターミナルに乗用車が1台止まっていた。そばにいる人を見ると、何と、函館市に住む友人だった。
函館から苫小牧までかなり距離があるし、朝6時の早朝なので… まさか来てくれるとは思わなかった。まさにサプライズ。とても嬉しい。大昔、東京のデザイン会社で机を並べて仕事をした仲間が、30年後の旅で、応援に駆けつけてくれるなんて、想像もしなかった。これはもう感激しかない。今回の旅ではいろんな場所でさまざまな友人が応援に来てくれた。自分はつくづく幸せ者だと思う。
マックで朝食を食べながら、お互いの近況報告や今回の旅のことなどをおしゃべり。時間がないので長話はできなかったが、最後に「宗谷まで、頑張って!」と元気な声で送り出してくれた。
まずは富良野を目指す。当初の計画では北海道縦断(苫小牧→宗谷岬、約500km)に4日間を考えていたが、予定が遅れて今日を含めて3日間しかなくなってしまった。それでも頑張って1日170kmで3日走れば不可能な距離ではない、最後まで諦めないぞ。
国道234号で岩見沢方面へ向かう。道は4車線で路肩も広々。北海道は空だけでなく、道幅も広い。苫小牧市内を抜けると、定規でひいたような直線道路がどこまでも続く。天気は上々。気温は低いが、雨の中を走り続けた東北に比べると温かく感じる。国道234号は室蘭本線と並行して走っているため、駅の周りは小さな集落になっているが、ほとんど牧草地や畑ばかり、北海道らしいゆったりとした景色が続く。
午後1時過ぎ。道道30号沿いにポツンと建つカフェ『パパジ&ママジ』でランチにする。農場の倉庫を改装したような開放的な店内。北海道らしいおおらかさを感じる。メニューの写真を見て一番おいしそうな『とろとろ玉子の牛スジ煮込みデミグラスソースオムレツ』を注文した。食べてみると柔らかく煮込まれた牛スジ入りのデミグラスソースとふわふわの半熟卵に包まれたオムライスの相性はバッチリ。幸せなランチタイムとなった。
朝は雲が多かったが、昼ごろから青空が広がり爽やかな陽気になった。岩見沢で県道116号へ入り、桂沢湖方面へ向かう。三笠を過ぎるとフラットな道から徐々に山道に変化する。といっても本州の山道のような険しさはなく、カーブは緩やかで傾斜もなだらかで走りやすい。しばらくすると右手に人造の桂沢湖が見えてくる。その後国道452号に入り、芦別方面へと進んでゆく。
しばらくすると東の空にグレー色の雲が現れた。明らかに雨雲。西と僕の頭上は青空なのに、北海道初日に雨は勘弁して欲しい。『三段滝』を過ぎると、富良野方面は右折(道道135号)と書かれた標識が現れた。富良野方面へ進んでゆくと、前方でやばそうな雲が待ち構えていた。富良野まであと20kmなのに…「お願い、降らないで~っ」。祈る様な気持ちでペダルをこぐが、進めば進むほど雨雲が近づいてくる。
「もうだめだ!」と感じたところでペダルを止め、急いでレインウエアを着こむ。着替えた直後、ポツポツ…ザーーッ!! 地面を激しく叩く、ゲリラ豪雨が始まった。雨の勢いはすごく、道はあっという間に川と化した。とにかく転倒しないように慎重に自転車を走らせる。
雨が降り続き、全身ずぶ濡れのまま富良野の宿『ホステルTOMAR』に到着した。この旅で一番ひどい雨だった。ようやく着いた宿には室内自転車置き場があり、運よく雨の当たらないところにE-Bikeを止めることができた。シャワーを浴び、濡れたウエアはコインランドリーで洗濯。一気にリフレッシュ。「明日は晴れてくれよ~」祈る様な気持ちでベッドに入った。
■日付:2022年06月12日
■走行距離:154.7km
■ここまでの総走行距離:3,315km
■ルート