<バスケットボール選手 富樫勇樹(21)>

 NBAとともに、五輪は子供のころから大好きでした。最初の記憶は、小学5年だった04年アテネ大会です。平泳ぎで2冠を達成した北島選手のインパクトは強かった。「超気持ちいい」の発言も記憶に残っています。

 3年前、日本代表候補に初選出されたことで、五輪が現実的になりました。東京五輪のときは27歳。選手としては一番いいころ。ただ開催国枠ではなく、しっかりと予選を勝ち抜いて出場したい。そのためには個々がレベルアップしていくしかありません。

 高校は英語も話せないのに米国のモントロス・クリスチャン校へ留学。昨季限りでbjリーグ秋田を退団し、NBAに挑戦中です。実力を高めるためには、高レベルのところでもまれるしかない。先月はマーベリックスの一員としてサマーリーグに出場できました。今は10月からの開幕前キャンプ参加のオファーを待っているところです。

 身長は167センチ。子供のころから小柄でした。「もっと身長があれば」とは何度思ったことでしょう。ただバスケットボール選手である以上、身長差は言い訳になりません。この身長で何ができるかを常に考えてきました。バスケットは長身選手だけのスポーツではない。NBA、五輪で活躍すれば、小柄な子供にも夢を与えられるはずです。

 6年後、NBAから、日本代表に助っ人として行ければ理想ですが、その前にやることはたくさんあります。課題はフィジカル。スピードを維持しつつ、筋力をつけなければならない。挑戦を続けることが、NBA、五輪出場につながると信じています。(取材・構成=田口潤)(2014年8月27日本紙掲載)

【注】年齢、記録などは本紙掲載時。