今の夢は、東京五輪で聖火ランナーを務めることです。(弟義行氏、めいの宏実と合わせ)三宅ファミリーで金、銀、銅メダル2つずつで6つ。個人で多数のメダルを獲得している選手はいるでしょうけど、家族で、というのは世界的に見てもいないでしょう。宏実も現役選手ですが、ぜひ走者をやって欲しい。
これまで五輪のメダルを獲得した日本のアスリートが全員並び、バトンタッチしていく。これは最高にいいアイデアじゃないかな。64年東京五輪の金メダルは、私も含めて16。そのうち、ボクシングの桜井(孝雄)さん、柔道の猪熊(功)さん、体操の遠藤(幸雄)さんら亡くなった方はいるけど、まだ生きている方々は、みんな松葉づえをついても出てきてくれると思うよ。
指導する選手が、メダルを取るのも夢です。また、自分がマスターズ大会に出て重量挙げを盛り上げるのも役目のひとつ。あと3年、80歳になるまでは、現役を続けようと思っています。五輪を目指す選手にアドバイスをするなら、常に現状より一段階上の練習をしないといけないということ。私が金メダルを取った時は、その上の色、プラチナ、と考えていた。もっと、もっと上のものを狙っていかないと、金メダルは取れません。金を目指したら、銅止まりになります。
また、来日する方々に日本の文化を目に焼き付けてもらい、来て良かったな、と思ってほしい。自分が60年ローマ五輪に行った時、治安が悪く、練習もままならないことがありました。安全に楽しく、意味ある五輪にするために、外国人の方々に目配り気配りをし、おもてなしをすることがまず大事です。東京の建造物、例えば浅草寺、明治神宮などを見てもらい、日本人の勤勉さを知ってもらうのもいい。選手も、スタッフも、与えられたポジションで、日本人の誇りと自覚を持って、東京五輪に取り組んでもらいたいです。
(2017年5月10日東京本社版掲載)
【注】年齢、記録などは本紙掲載時。