東京五輪は、日本のいろんな競技を盛り上げるチャンス。選手が活躍すれば、競技が注目されて、練習の環境が良くなったり競技人口が増えたりする。選手には応援が力。多くの人に、会場に足を運んでもらえたらなと思います。
僕はスピードスケートで04年と05年に全日本スピード選手権を連覇した。06年冬のトリノ五輪に出て驚いたのは、開催国のイタリアの活躍。すごい応援があって、それまでの国際大会より成績が良かった。僕は4種目に出たけど、タイムが伸びずに入賞はチームパシュートの8位だけ。世界との差が縮まらなかった。
選手はいろんな大会で優勝して、何度も達成感を味わった人ばかり。自分だけで、さらに上を目指す気になるのは難しい。僕は中学の全国大会の優勝に満足して、1度はスケートをやめた。そのときに父親が「続けろ」と。それから、いい成績を残すたびに多くの人から「自分たちも勇気づけられる」と言われた。スケートを続けて五輪に出て、その実績で特別枠から競輪学校に入学した。去年の6月に競輪のG3で初優勝して、今年の7月にまたG3で優勝できた。いま競輪で頑張れているのは、多くの声援や励ましが元です。
心配なのは、僕の原点のリンクが荒れていること。実家の近くで通った長野県諏訪郡の原小は、冬は校庭がリンクになってスケートの授業がある。ただ、整備が難しい。気温がマイナス10度ぐらいの夜中に水をまいて、氷の表面を整える。昔は父親もやったけど、今は人手が少ないみたい。それと気候の温暖化で、氷ができにくいと聞きました。
スケートって何かと大変なんです。シューズやウエアは高額だし、練習する場所が少ないから僕は合宿練習でカナダまで行った。選手への支援を良くするためにも、スケートの注目度がもっと上がるといい。競技人口が増えれば、リンクも増える。流れが良くなる。
もちろん、東京五輪は自転車競技に注目。競輪で対戦しているナショナルチームは強い。特に脇本雄太君は金メダルを狙えるかも。あと2年。競輪を盛り上げるためにも、業界全体でナショナルチームを支援できたらいいなと思います。
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