【LAタイムズ名コラムニスト】雲の上にたどり着いた大谷翔平…王朝の始まり/最終回

ドジャース大谷翔平投手(30)が、メジャー7年目で初めて世界一の座に就きました。移籍1年目の今季は周囲の予想をはるかに超え、前人未到の「50ー50」を達成。今やメジャートップのスーパースターとなった大谷は、ド軍に何をもたらしたのでしょうか。地元紙「ロサンゼルス・タイムズ」で健筆を振るうコラムニスト、ディラン・ヘルナンデス記者が、本紙特別寄稿「Hot & Spicy」で、大谷の今季と来季以降の展望語りました。

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◆ディラン・ヘルナンデス(日本名=渡辺修) 1980年7月7日、米カリフォルニア州ロサンゼルス生まれ。父はエルサルバドル、母は新潟県見附市出身の日本人。UCLA(カリフォルニア大ロサンゼルス校)では歴史学を専攻。「ボストン・グローブ紙」などでのインターンを経て、卒業後の02年「サンノゼ・マーキュリー紙」に入社。07年から「LAタイムズ」のドジャース担当を務め、16年からコラムニスト。家族は、妻と1女1男。

■ド軍の長い歴史の中でも、大谷ほど打者として活躍した選手はいない。

ドジャースの今季は、球団史上、ナンバーワンのシーズンと言っていいのではないだろうか。過去、サイ・ヤング賞2回の殿堂入り左腕サンディ・コーファックスが活躍した60年代と比較されるほど、実績、人気とも傑出した1年だった。

ド軍の長い歴史の中でも、大谷ほど打者として活躍した選手はいない。グラウンド上での結果だけでなく、チームの看板選手として大谷の存在感と注目度は、本当にすさまじかった。

ワールドシリーズ(WS)の視聴率が、NBA(バスケットボール)ファイナルを超えたという一報には、正直、驚かされた。実際、これまでまったく野球に興味を示さなかった愛妻が、今年のWSはテレビで観戦していた。

おそらく彼女の人生で初めてだろう。夫の仕事を少しでも理解しようとしたわけではないだろうが、「ヘルナンデス家史上初」の珍現象だった。

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