【虎番秘話】「会いたくない」坂本誠志郎が涙の右腕に送ったLINE/連載〈7完〉

阪神担当記者がシーズン中に書き切れなかった話題をつづる「猛虎リポート特別版」。最終回は中野椋記者が涙にまつわる秘話をお届けします。村上頌樹投手(26)は9月27日の広島戦(マツダスタジアム)でサヨナラ打を浴び敗戦投手に。責任を背負い込んだ右腕は涙し、グラウンドを後にしました。その様子を見ていた坂本誠志郎捕手(30)が試合後、ある行動に出ました。

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◆坂本誠志郎(さかもと・せいしろう)1993年(平5)11月10日生まれ、兵庫県出身。履正社では2年夏と3年春に甲子園出場。明大から15年ドラフト2位で阪神入り。履正社、明大、大学日本代表と主将を務めた。23年にはゴールデングラブ賞を受賞し、阪神日本一の立役者に。176センチ、80キロ。右投げ右打ち。今季は64試合に出場し、193打数43安打で打率2割2分3厘。0本塁打、12打点。今オフには国内FA権を行使せずに残留した。

広島の夜、ラーメンをすする音

広島戦の12回裏1死二塁、村上頌樹は末包昇大にサヨナラ二塁打を浴びる=2024年9月27日

広島戦の12回裏1死二塁、村上頌樹は末包昇大にサヨナラ二塁打を浴びる=2024年9月27日

あの夜、男たちは麺をすすっていた。

広島市内のラーメン店。

こぢんまりとした店内に坂本と村上がいた。

麺に鴨肉とネギが乗ったシンプルな一杯。

透明のスープはあっさりとした味わい。

試合後の緊張感から解き放たれた体に勢いよく流し込んだ。

その1時間前、村上は泣いていた。

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