【九州Jクラブ漫遊記〈9〉福岡編】ルヴァン杯王者福岡の今季を占う
九州育ち、九州在住記者による「九州Jクラブ漫遊記」。
第9回は、アビスパ福岡の今季展望です。
昨季は初タイトルとなるルヴァン杯を獲得しました。
新シーズンの目標はクラブ最高順位だった昨季の7位以上、カップ戦4強以上。
攻守の主力が抜けた中、生命線の堅守速攻をいかに向上させるのか。
限られた戦力で巧みなタクトを振る「長谷部マジック」の真価が問われる年になりそうです。
サッカー
■2024年九州サッカー協会管内のJクラブ■
【J1=2チーム】
アビスパ福岡、サガン鳥栖
【J2=4チーム】
V・ファーレン長崎、大分トリニータ、ロアッソ熊本、鹿児島ユナイテッドFC
【J3=3チーム】
FC琉球、テゲバジャーロ宮崎、ギラヴァンツ北九州
対戦相手として感じた「怖さ」
春の陽気を感じさせる2月中旬の雁の巣球技場。
宮崎キャンプを終えて、福岡で調整を再開させた選手の元気な声がこだましていた。
「切り替えは速く」「3タッチ以内で」など、就任5年目を迎えた長谷部茂利監督(52)のゲキが飛ぶ。
ピッチ4分の1を使った8×8の実戦形式では、ファーストディフェンダーが守備に向かった瞬間、組織で連動するプレーが何度も繰り返された。
福岡が強みとする生命線の堅守速攻スタイルは、今年も健在だ。
J1サガン鳥栖から新加入の元日本代表FW岩崎悠人(25)は言う。
「福岡は切り替えの速さに怖さがあった。勢いに乗るとやっかいなスタイルで、恐怖心が芽生える(攻守の)切り替えだった」。
その「怖さ」とは何なのか。
岩崎は「鳥栖はボールを奪った後にボールを大事にしたが、福岡はダイレクトプレーが多く、ゴールに直結する切り替えが多い」と比較する。
徹底された全員攻撃、全員守備の意識が、今季も相手に脅威を与えそうだ。
守備優先のチームにあって、毎年、試行錯誤してきた攻撃の向上もかぎを握る。
昨季は攻守がかみ合い、ルヴァン杯優勝で、クラブ初タイトルをもたらした。
ビッグクラブの草刈り場
だが一方で、資金豊富なビッグクラブの草刈り場となり、その躍進を支えた攻守の“飛車、角”を失った。
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福岡市博多区生まれ。93年入社。所属部署、担当歴は総務、整理、写真、報道、ソフトバンク、Jリーグ、高校野球など。
海外取材歴は写真部時代の00年シドニーパラリンピック、01年マリナーズ・イチローなど。15年九州写真記者協会・プロスポーツ組写真部門賞受賞。
スポーツ歴は野球、陸上中・長距離。大学で九州学生駅伝出場。