【宇都宮ブレックス〈63〉】壁に立ち向かう小川敦也の覚悟(上)

小川敦也選手が「壁」と戦っています。プロとしてのルーキーイヤーの今シーズン、ここまで19試合を消化しておよそ半分の10試合出場に止まっています。12月8日の横浜ビー・コルセアーズ戦で自己最多の11得点をマークして勝利に貢献しましたが、確固たるポジションを獲得するまでには至っていません。高校、大学、在学中の特別指定選手時代と、順調に成長してきた小川選手にとっては初めての「壁」かもしれません。将来の日本代表を嘱望される22歳は今、何を感じ、何を考えているのでしょうか。胸の内を伺いました。(インタビューは11月28日に行いました)

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【次回予定〈64〉壁に立ち向かう小川敦也の覚悟(下)】

11月30日のサンロッカーズ渋谷戦前にドリブル練習に励む小川選手

11月30日のサンロッカーズ渋谷戦前にドリブル練習に励む小川選手

「このままではまずい」

私はずっと気になっていました。

プレシーズンゲームでの小川選手を見て、今シーズンはどれだけ活躍してくれるのかとワクワクしました。しかし、リーグ戦が開幕するとなかなかプレータイムが増えず、試合自体に出場できない事もあります。

ただ、小川選手は落ち込んだり、苦しんでいるところを一切、見せません。どんな時でも全力でチームに貢献しようとしています。だからこそ、肉声が聞きたくてインタビューを申し込みました。

11月28日のチーム練習後、小川選手はいつものように少しはみかみながら私の前に座りました。インタビューの意図をすぐに理解したのでしょう。私の前置きが終わらないうちに、語り始めました。

―今シーズンここまで振り返っていかがですか

チームとしては、開幕2連敗のあとに連勝できていますし、競った試合を勝ち切れているのは良いと思います。個人としては、何もしていない気がしています。あまりチームの力になれていないというか、プレータイムもそこまで多くないですし、試合にも出ていません。自分の中で危機感はあります。

―プレシーズンゲームでは先発でも出ていましたし、プレータイムも多かった。こんなはずでは、という思いはありますか

プレシーズンの時は怪我人の方だとか、オリンピックに出たマコさん(比江島慎選手)が調整段階だったりして、たくさん出場できた部分もありました。現状、試合に出られていないのは自分の実力です。チーム内で競争し、練習でコーチにアピールしないと試合に出られないですし、試合に出たら何か結果を残さないといけないですし。このままではまずい、と感じています。

―数字も昨シーズンと比べて(11月10日の中断期間前は)全体的に良くありません。原因はどう思われますか

あまり試合に出場できていない状況で、試合に出た時は自分を良く見せようとしている部分があると思います。今までならば、がむしゃらにやろうで良かったんですが。今でも一所懸命頑張っているつもりですが、プレーでの迷いだったり、ここで結果を残さないと次の試合に出られないとか、いろいろ…

―結果を考えてしまうのですか

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1988年入社。プロ野球を中心に取材し、東京時代の日本ハム、最後の横浜大洋(現DeNA)、長嶋巨人を担当。今年4月、20年ぶりに現場記者に戻り、野球に限らず幅広く取材中。