なでしこジャパンDF岩清水梓(28=日テレ)の心の傷は癒えていなかった。帰国した7日、千葉・成田市内のホテルで報道陣の取材に応じた。W杯カナダ大会の決勝・米国戦でのミスを引きずり涙が止まらなかった。近日中に主将を務める日テレの練習に合流し、12日のなでしこリーグ・埼玉戦(ひたちなか)で再スタートを切る。
目頭を押さえても、押さえても、流れ落ちる涙は止まらなかった。岩清水はホテルの一室で記者の質問に答えた。泣くのをこらえられたのは最初の2問まで。明らかに憔悴(しょうすい)した表情で「(W杯)全体を振り返ったとしても決勝しか思い付かない。あまりしゃべることはないです」と苦笑いし、「今の気持ち」と聞かれ「見てのとおりです」と話すと、みるみる涙があふれ出た。
決勝直後には多くの関係者から励まされたという。それでも「いろんな人から励ましの声をもらいましたけど、もらうたびにつらいので…」と言うのが精いっぱいだった。決勝では米国MFロイドのマークにつききれず、ゴロのCKに左足を合わされて先制点を献上。3点目もヘディングのクリアミスをMFホリデーに蹴り込まれたものだった。大敗した一戦をいまだ消化しきれずにいた。
それでも時は止まってくれない。12日にはなでしこリーグが再開する。所属の日テレでは妹分のFW田中美南らが「早く帰ってきてほしい」と待っている。12日の埼玉戦に出場すると明言し「代表に浸らず、切り替えなければならない。(クラブの)みんなの顔を見るのが楽しみですけど、その頃には自分も切り替えた顔をして会わなければならない」と意欲を見せた。
今後のなでしこでの活動については「まだちゃんとは考えていないです」と話すにとどめた。だが、日本代表のDFラインをけん引した功績は誰もが認めるところ。「イワシ」が一回り強くなって戻ってくることをみんなが待っている。【千葉修宏】