英樹がフェニックス・オープンで棄権して1カ月がたちました。あの時は、マスターズでもやめていたのではないかというくらいの痛みに映りましたが、頑張っている証しでもあると思います。今年も毎ラウンド後の打ち込みをはじめ、誰にも負けない練習量を重ねてきました。気付けば練習場に残るのは英樹1人、という光景も珍しくありません。悔しいアクシデントの中で日々の努力を再確認したという思いもあります。
14年から米ツアーに本格参戦して棄権は5試合目。米国だけでなく、アジアや欧州、文字通り世界中を飛び回って戦っています。一緒に転戦して、その過酷さは身に染みて感じています。英樹の普段からのたゆまぬトレーニング、そして飯田トレーナーのサポートによって、その数にとどめられているという見方もできるのではないでしょうか。
一時帰国中の日本で平昌五輪を見た時、フィギュアスケート羽生結弦選手を英樹に重ね合わせていました。ケガを乗り越えて66年ぶりの連覇。すごいとしか言いようがありません。羽生選手の「いろんなものを犠牲にして」というコメントを聞き、やはり海外を拠点として戦い、いろんなものを捨ててゴルフに情熱を傾けてきた英樹の姿がよぎりました。家族や友人と離れ、言葉や食事の苦労もあります。異国の地で戦う裏側をそばで見てきただけに、感じるものがありました。
ケガをした選手は誰しも焦ってしまいがちです。そこで僕ら周囲が焦らないことですね。メジャー4試合がある4月から8月にピークを迎えられればいい。何より、今後の選手生命を長い目で見なければいけません。気持ちの面でも英樹を支え、マイペースにコツコツとやるべきことをやっていきたいと思います。(2018年3月9日付紙面掲載)