女子ツアー「明治安田生命レディス ヨコハマゴルフトーナメント」で優勝争いに絡み、待望の2勝目を予感させた永井花奈(23)。SKE48山内鈴蘭(26)とのハンディ戦9ホールマッチは引き分けとなり、対戦終了後には対談も実施。舞台こそ違うが、競争の世界で生きるプロ同士が何を思い、どんな印象を抱いたのか。2週にわたって紹介します。

「打ち直し券」を手に笑顔の山内鈴蘭(左)と永井花奈プロ
「打ち直し券」を手に笑顔の山内鈴蘭(左)と永井花奈プロ

-対戦の感想は

永井 思っていた通りでした。私的にはハンディが9個あったらやばいと思っていました。本当に接戦ですごく楽しかったです。

山内 この対戦の話をいただいた時、普通に回ったら100%負けるので、ハンディがないと困ると話したんです。そうしたらハーフで5回打ち直しができると言われて、そのあと1ホール1回になったけど、クラブハウスで「無理に決まってるじゃん!」って。自分のゴルフも全然良くなかったし、相手はツアープロですよ。でも回っているとチョー楽しくて。年も近いし、1度会ったこともあるので、花奈ちゃんの流れにうまく乗れたような気がします。

-ハンディの件ではすごいけんまくでした

山内 当たり前じゃないですか! あのハンディじゃ絶対勝てないですから!

-勝つつもりだった?

山内 勝つつもりでしたよ(笑い)。こんなすてきな対戦や対談の機会はないから、せっかくなので底力を見せたいなって。途中から花奈ちゃんが燃えてるようにも感じられたし、お互いの勝つぞという気持ちがとても楽しかったです。

永井 なかなか話すタイミングもなかったので、逆に本当にいい機会をいただきました。

山内 本当にぜいたく。どれくらいターフを取っているとか、ここはカット気味で打っているとか、マニアックなところを見ちゃいました。楽しかったし、すごく勉強になりました。

笑顔で対談する永井花奈プロ
笑顔で対談する永井花奈プロ

-永井プロの印象は

山内 負けん気が強い女子プロの中ではほんわかと見えるのに、内側から湧き出る負けん気がすごい。でもそれがかわいらしくて。自分が男性だったら、そのギャップにコロッといってるなって(笑い)。あと、ここぞというときの集中力がすごい。そこが「やっぱりトッププロって違うな」と思いました。それから、親身に教えてくれた。私から聞くまでもなく、「こうしたらいいんじゃない?」と言ってくれて、人としてもメチャクチャいい人でした。

永井 「こいつ腹黒いな」で終わらなくてよかった(笑い)。選手は全員負けず嫌いだと思うので、その中で勝っていかなくてはならないですからね。

15番セカンドでがっかりする永井プロ
15番セカンドでがっかりする永井プロ

-15番で永井プロのセカンドが思ったよりも左に行ってしまった時は、本気で悔しそうな表情に見えました

永井 私はツアーの中では飛ぶ方ではないので、100ヤード以内が肝心なんです。ウエッジ3本を入れていて、それでいかに近くに付けられるかが私のゴルフの勝負どころだと思っているので、あそこはもうちょっと近くに付けたいという気持ちがあったんです。ちょっと悔しかったですね。

-表情が変わったのがわかりました

永井 顔にすぐ出るので…(笑い)。

山内 それくらいの方がいいよ。あの時ちょっと試合している気持ちになれた。自分が寄せて、その後どう寄せるんだろうと思って見ていたら左に行って、「もしかしたら自分の方が寄っているかもしれない」と思った。なんか、ツアーを回っているみたいな気になれた。

永井 私的には新鮮でした。ツアーだと大体私からセカンドを打つんです。飛ばないから。グリーンに乗っているボールがないんですよ。だから最初につけられて後から打つというシチュエーションがあまりなくて、新鮮で楽しかった。

山内 私はドライバーが負けて、悔しかった。って、負けるんですけど(笑い)。でも1回くらい勝ちたかったなぁ~。

笑顔で対談する山内鈴蘭
笑顔で対談する山内鈴蘭

-1ホール目のティーショットは、場慣れしている鈴蘭さんでも緊張しているように見えました

山内 めっちゃ緊張した! 実は昨夜、全然寝られなかった(笑い)。

永井 鈴蘭さんはスイングテンポが良いですよね。最近の女子プロはすごく振っていて、自分とあまりに違う場合は、見ないこともあるんです。それくらい自分のリズムやテンポ、タイミングを大事にしているのですが、逆に鈴蘭さんの後で打つ方がいいイメージで打てたし、実際にいいショットを打っていたんじゃないかな。

山内 ホントに~。そんなことある? これはうれしいでいいのかな?

永井 なので、私も今日はすごく楽しく回れて、すごくよかったです。

-2人ともゴルフのきっかけが父親ですよね

山内 花奈ちゃんのお父さん、ニコニコされていて良いですよね。親子二人三脚での姿がほっこりします。私もゴルフを通じて両親と仲がいいから、一緒の趣味だったり、目標をもって家族でいられるのって、いいなと思います。

永井 家族で(ツアーを)回っているので、ちょっとした家族旅行みたいな感じで、すごく楽しめています。

山内 ゴルフしながら旅行気分も味わえるんだ。ところで、お酒は飲むの?

永井 はい!

山内 私は本気ゴルフのときは飲まないけど、家族でプレーするときはお昼のビールが一番好き!

永井 私はさすがに昼は飲めないので、上がったあとシャワーを浴びてすぐに飲みます。

山内 えっ、待って! これはもうマブ(親友)! 100%マブ。でもプロってお酒飲んだ分、筋トレとかするわけですよね。今はコロナでいつも通りというわけにはいかないかもしれないけど、どれくらいやってるの?

永井 オフシーズンは筋トレもしていました。コロナの影響で開幕が遅れましたが、その間は、その筋肉を生かすために、実際にボールを打ったり、コースを回ったりが多かったですね。でもゴルフだけでは筋肉が落ちてしまうので、自宅でできる筋トレやダッシュ、体幹トレーニングとかしていました。このトレーニングは試合中でもやっています。

(つづく)

永井花奈プロ(左)と山内鈴蘭
永井花奈プロ(左)と山内鈴蘭

◆永井花奈(ながい・かな)1997年(平9)6月16日、東京都生まれ。16年7月、プロテスト合格。17年に樋口久子・三菱電機レディースでツアー初優勝を果たすと、賞金ランク20位に入りシード権を獲得。19年も36位で3年連続のシード権確保。所属はデンソー、契約クラブはヤマハ、ボールはタイトリスト、ウエアはMARK&LONA、シューズはecco。155センチ。

◆山内鈴蘭(やまうち・すずらん)1994年(平6)12月8日、千葉県生まれ。09年AKB48の9期生としてデビュー。14年SKE48チームSに移籍。父の影響でゴルフを始め、プロとアイドルを目指し、オーディション合格でアイドルを選択。現在テレビ東京系ゴルフ番組「日曜ゴルフっしょ!」(日曜、午前11時)にレギュラー出演中。152センチ。血液型O。

◆取材・構成=川田和博

◆撮影=狩俣裕三

◆協力=飯能グリーンCC(埼玉)