ラグビー、ワールドカップ(W杯)日本大会は2日、日産スタジアムの決勝で南アフリカがイングランドを下し、世界一となり、幕を閉じた。
前サントリー監督の沢木敬介氏(44)は「内容のある素晴らしい決勝戦だった」と、決勝を総括した。
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イングランドにとっては惜しい試合だった。確かに南アのディフェンスは良かったが、それ以前の問題。キックオフからのパスミスなどちょっとしたミスが重なって、自分たちのリズムが最後まで作れなかった。開始直後にプロップのシンクラーが負傷交代したのも痛かった。
序盤、南アはボールを蹴らずにワイドに回した。これでイングランドのディフェンスを混乱させ、その後はキックからフィジカルの強みを生かした本来のスタイルを徹底した。最初から得意の形でなく、違うものを見せておく戦術。イングランドはこれに戸惑ったのか後手に回ってしまった。
イングランドはアタックでも苦しんだ。攻めたいスペースは見つかるが、実際に攻めるとディフェンスのいい相手に止められる。キックのタイミングが悪く、本数も少なかった。もう少し積極的に蹴れていれば、形はつくれたはずだ。
最も差が出たのは、スクラムだった。試合を通して南アの強さが際立った。イングランドも、あれだけ押されてはゲームを支配することは難しい。さらにペナルティーからPGも決められて差を広げられた。やはり、スクラムで劣勢になっては勝ち目はない。
イングランドの優勝を予想していたので残念。スクラムなどセットピースで互角に渡り合えると思ったが、あそこまで差がつくとは思わなかった。それでも、内容のある素晴らしい決勝戦だった。最後まで自分たちの強みを出した南アは素晴らしかった。
日本代表の活躍で大会自体も盛り上がり、楽しかった。これまでラグビーを知らなかった多くの人も、試合を見てラグビーも魅力を知ったはず。素直な気持ち「もう少し、大会が続いてくれないかな」と思う。
(前サントリー監督)