★6日昼過ぎ、日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下したとみられる北朝鮮の弾道ミサイル。韓国軍合同参謀本部は同日、北朝鮮が平壌付近から中距離級弾道ミサイルと推定される飛翔(ひしょう)体1発を日本海側へ発射したとした。北朝鮮の弾道ミサイル発射は昨年11月5日以来。ただ今回の発射は日本に向けてというより、韓国のクーデター未遂後の状況変化を比較分析するためだろう。日米韓の安全保障システムが機能しているか、韓国の内政不安が状況の変化を生んでいないか、韓国軍や米軍の反応に変化はないか見たものだろう。

★なにしろ韓国では大統領がネトウヨにあおられクーデターを仕掛け、今では検察・警察と尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が角突き合わせている状態。北朝鮮には理解しがたいだろうが、日米の安全保障環境は韓国に引きずられるわけにはいかない。米アントニー・ブリンケン国務長官は6日、趙兌烈(チョ・テヨル)外相と会談。ミサイル発射はこの会談へのけん制もあろう。日米韓の安全保障のこれから、今後の大統領や韓悳洙(ハン・ドクス)首相に対する憲法裁判所の弾劾審判が長期化する場合の統治手法や責任能力などが大きな議題だろう。米バイデン政権としては安倍内閣以来悪化していた日韓関係をここまで戻したのは韓国の大統領を説得したバイデン政権の手柄の確認と、次期大統領ドナルド・トランプが何を言い出すかわからないことへの懸念だ。ブリンケンはその足で日本に向かい、6、7日で首相・石破茂、外相・岩屋毅と会談。最もこちらはジョー・バイデン大統領の日本製鉄によるUSスチール買収計画の中止命令が話題の中心か。

★岩屋も13日に韓国を訪問し、趙外相と会談予定だ。今年は日韓国交正常化60周年の節目でもあるが、この緊急訪韓の目的はブリンケンと同じだろう。2月には日本で日中韓3カ国の外相会談を開く案もあるというが、その時の米国務長官はトランプ政権のマルコ・ルビオだ。(K)※敬称略