【虎になれ】藤川球児新監督、ネットの批判“歓迎”「書き込んで、楽しんで」
阪神タイガースの監督が日刊スポーツ本社を訪れるのは2年ぶりだ。23年年頭に前監督・岡田彰布(現オーナー付顧問)が来た。そしてこの日、新指揮官・藤川球児が大阪・中之島まで足を運んだ。あいさつに続き、今季への抱負を語るなど和やかなムードだった。
2年前の同じ状況で岡田に聞いたことを思い出した。「SNS、ネットは気になるか?」という話だ。「ネットは目に入ったら見るけどね。そんなん、別になんにも気にしてないよ。書けんようにしたらエエだけの話。そういうことやろ」。岡田はそう強気に言い放ったものである。
球児はどうか。岡田より20歳以上若い、当たり前のようにスマホにもなじんでいる世代だ。かつて采配批判などはメディアの専売特許、ファンは球場でヤジを飛ばすぐらいだったが、時代が変わっているのは今更言うまでもない。その部分はどうなのか。球児の話は明快だった。
「書き込んで、楽しんでほしい。喜怒哀楽を十分に出して。毎日、仕事してたらグチも言いたいこともあるだろうしね。ボクは藤川球児という個人は“1回寝かして”きてる。監督という役職でやるだけなんで」
いかにも球児らしい答えだった。誹謗(ひぼう)中傷が許されないのは当然だが、ある程度の意見、文句をいうのは熱視線を送るファンだからこそかもしれない。こちらは古い人間なので、ネット空間に不満を書いてどうなる…? と思わないでもないが、現代では普通なのだろう。球児はそれを分かっている。
問題なのはそれに左右されることだ。もちろん、ファンの意見で試合の何かが動くことはないけれど、どこかでそれがチラリと頭をかすめる危険はあるかもしれない。見ないという方法はあるけれど-。
「そうですね。まあ目にしても、あんまり引かないと思います。逆に突っこんでいくんじゃないですか。影響はしないですね」
阪神で芽が出ない時期を越え、抑え投手として大ブレーク。その後、メジャーから独立リーグまで経験した。多くの経験から得たのはファンから注目されることの意味だろう。
だからこそ「どうぞ批判してください」と言えるのかもしれない。グラウンドでの勝負はもちろん、その外でもドンと構える覚悟を持って、監督1年目に向かっていく指揮官・球児ということだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)
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記者生活30年超の高原寿夫・編集委員が、今シーズンの岡田タイガースに鋭く迫ります。