スターダム岩谷麻優、新団体「行こうと思っていた」それでも〝家出〟しなかった理由
家出レスラーは、家を出た父に何を思う? 女子プロレス「STARDOM(スターダム)」のIWGP女子王者・岩谷麻優(31)が、日刊スポーツの独占インタビューに応じた。17日、家出少女からプロレスのスターに転身した自身の半生を描いた映画「家出レスラー」が公開される。作品内でも父のように描かれたスターダム創設者・ロッシー小川氏(67)が2月にスターダムのエグゼクティブプロデューサー(EP)を解任され、4月に女子プロレス新団体「マリーゴールド」を発足。スターダムのアイコンと呼ばれる岩谷の胸中は? 5月6日のプロ野球DeNA-ヤクルト戦(横浜)の始球式に臨んだ岩谷に、元格闘技担当が突撃した。
プロレス
GWハマスタ降臨
――初の始球式は残念ながらワンバウンド
岩谷 悔しいです。プロレス会場でも、リング設営した後の空き時間とかにスタッフさんとキャッチボールしたり、プロレスのウレタンマットをホームベースにしたりして、メジャーで18・44メートルも測って、やっていたんです。距離は大丈夫だったんですけど…。てか、練習していたボールより、小さい気がしたんですけど(笑い)。
――練習をかなり積んできた
岩谷 公園でもタオルをぶんぶん回したりしていましたよ! 練習用のボールもバックパックに入れて、いつでも練習できるようにしていましたから。
――思い通りにはいかない
岩谷 とにかく練習では、力んだら変な方向に行ってしまっていたので、力まないでいこうって思っていたんですけど、力まなすぎた…(笑い)。
――プロレスの試合と始球式、どちらが緊張する
岩谷 始球式ですね。自分の心臓の音が聞こえましたもん。映画でよくズキュン、ズキュンみたいなのあるじゃないですか? あ! これやって思いました(笑い)。
――映画と言えば、岩谷麻優の半生を描いた「家出レスラー」が公開される。改めて、レスラー前の時代を振り返ると
岩谷 自分は高校を中退してから2年間、ひきこもりでした。人生の先が見えなかったし、本当にどうなってもいいや、みたいな。死んでもいいな、みたいな感じの人生なんだったんです。先も見えないし、自分の将来像が描けないし、かと言って何かを行動する気力もない。面倒くさいみたいな状況の中で、お兄ちゃんがプロレス番組を見てたんですよ。自分はプロレスなんかって思いながら見てたら「何でこんなにやられても立ち上がって」とか、プロレスを見て感情の起伏があったんです。「すごい」「痛そう」「頑張れ」とか。自分は失うものもないし、いつどうなってもいいと思っていたんですけど、その前に好きなことをやってみようみたいな、とりあえず今の人生というか、ひきこもりを脱却してみるか、っていう軽い気持ちでプロレス界に入りました。でも、そこからもう13年間、ずっとこの仕事を続けています。この仕事が天職だと思ってるし、人生が救われたと思ってる。今まで何もなかった自分がプロレスラー岩谷麻優になってから、自分の人生が作り上げられたと思っています。
――どんな人に鑑賞してもらいたい
岩谷 自分の人生で先が見えないよ、とか、何すればいいのか分からない、とか、この仕事やってるけど、辞めたいけど辞められないとか、逃げたくても逃げられないとか、いろんな状況があると思うんですけど、誰かの希望になれる映画になってほしいなって思います。こんな自分が映画になるとか、誰もが想像しきれないことが起こるのが人生だなって。
――若くして、自ら命を絶つ者もいる。生きづらい時代なのかもしれない
岩谷 映画の中では「逃げてもいいんだよ」っていうことを伝えている部分とか、結構あるんです。でもやっぱり、それって難しいじゃないですか。自分もアンチコメントで、いまだに傷つきますし。自分で言うのもあれですけど、応援してくださる方が9割。ファンの方はすごく温かくて、こんな自分でもすごく応援してくれてるんですけども、一部は悪い言葉がある。100コメントがあって、99が応援でも、人間って1のアンチを見ちゃうんですよ。自分もズンって落ち込むこともあるんですけど、今はもう自分の人生に誇りを持っているから、あえてそのアンチコメントの投稿に「いいね」するようにしてます。今までのひきこもりの自分だったら、誰もが知らない岩谷麻優だった。でも山口から1歩を踏み出して、人生を変えられたからこそ、それだけ世界に名前が広がってきたんだなって思えるような精神ではいます。
――ところで、映画公開の3カ月前、スターダム創設者のロッシー小川EPが電撃解任された。そして4月、女子プロレス新団体「マリーゴールド」を発足。岩谷が父と慕う同氏。あの時の思いは?
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岐阜県・羽島郡出身。2浪1留の親不孝者。青学大から13年入社。
野球部でアマチュア、巨人、ヤクルト、楽天、DeNA、巨人を歴任。一番の思い出は、19年の台湾出張。痔が悪化し、現地ホテルで試合観戦。異国の地で、購入したボラギノールは忘れられない。
20年からスポーツ部に異動し、サッカー担当に。23年秋から野球部に復帰。好きなものは、優しいウォシュレット。嫌いなものは、硬い椅子。
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