【阪神】掛布OB会長「野球には音がある」“無音野球”提案 長嶋氏命名「球音を楽しむ日」ヒント
甲子園に「球音」を響かせたい! 阪神の掛布雅之OB会長(69)が21日、球団創設90周年を盛り上げるイベントの一環として、甲子園での“無音野球”実施を提案した。大阪市内のホテルで実施された「甲子園歴史館運営会議」の第16回理事会・定例報告会に顧問として初参戦。早速、球団フロントへ魅力あるプランを提案した。
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掛布OB会長は球団創設90周年を彩る異例のプランを、胸の内に秘めていた。毎年1月に行われる「甲子園歴史館運営会議」に、理事を務める球団フロントらとともに顧問として初めて参加。節目の1年を盛り上げるべく、甲子園では初の試みとなるファンが野球から生み出される「音」だけを楽しむ“無音野球試合”の実施を提案していた。
「4万数千人が入る甲子園球場で『打球音』が聞こえるような。それをファンの方たちが演出したらすごい、いい野球が見られるんじゃないかな。選手がファンに音を聞かせてあげるみたいなゲームがあってもいいんじゃないですか」
巨人が00年6月14日に東京ドームで実施し、掛布氏が尊敬してやまない長嶋茂雄監督(当時)が命名した「球音を楽しむ日」にヒントを得たという。ファンがトランペットや太鼓による鳴り物応援を自粛して、拍手や声援のみのアメリカンスタイルの観戦法だ。
「バットとボールが当たる音だとか、ピッチャーが投げたボール、キャッチャーミットに入る『バーン』って音だとか。『野球には音があるんだ』と。佐藤(輝)がホームラン打った時に、子どもたちも『こんな音がするの!?』って思うと思うんだよね」
球団フロントも前向きに検討する構えを示した。提案を聞いた阪神の粟井一夫球団社長(60)は「今年は間に合うのかどうかっていうのはありますけど」と前置きした上で「アイデアとしては本当にありがたい。その通りやるんじゃなくて、そのアイデアを生かして何らかの形にはしてみたい」と画策を示唆した。
24年度の甲子園歴史館の総来場者数はリーグ優勝、日本一を達成した23年度の約23万人に次ぐ約19万人を超える見込み。掛布OB会長は歴史館の活動報告を聞き「イベント事がめじろ押しで、素晴らしい活動をしてるなって改めてわかりましたし、だからこれだけのファンの方が来るんだろうね」と感心しきり。「OB会としてもそういうイベントごとに協力していかなきゃいけない」と決意を新たにした。ファンを魅了し続ける球団であるためにも、OB会長として一肌も二肌も脱ぐ。【古財稜明】
○…24年1月に能登半島地震に見舞われた甲子園歴史館顧問、石川・輪島の門前高校野球指導アドバイザー・山下智茂氏(79=星稜高名誉監督)は「まだ全然進んでいません」と復興が道半ばであると語った。「昨日もノックを打ってきました。地域おこしです」と野球の力を信じて被災地に勇気を与える。
◆甲子園歴史館運営会議出席者
<理事>
日本高野連・宝会長
朝日新聞社・堀越取締役大阪本社代表
毎日新聞社・亀井執行役員・大阪本社代表(欠席)
阪神タイガース・粟井代表取締役社長
阪神電気鉄道 久須代表取締役社長、谷本取締役
<委員>
日本高野連・井本事務局長、古谷事務局次長
朝日新聞社・志方センター長、山岸事務局長
毎日新聞社・百留大阪事業本部長、野村大阪野球事務局長
阪神タイガース・西山取締役、阪本次長
阪神電気鉄道・向井部長、湯山課長
<顧問>
掛布雅之氏(阪神タイガースOB会会長)
佐山和夫氏(ノンフィクション作家)
道上洋三氏(ABCアナウンサー)※欠席
長島三奈氏(スポーツ記者)
成瀬國晴氏(イラストレーター、漫画家、著述業)
山下智茂氏(甲子園塾前塾長)
吉田義男氏(阪神タイガース永久欠番選手)※欠席