政界地獄耳

【政界地獄耳】防衛の専門家に攻めの外交は無理か トランプとの会談すら実現しない首相

★アゼルバイジャンの首都バクーで開かれていた第29回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP29)が24日に閉幕した。いつもながら気候変動は富裕国と途上国との負担規模でもめるが、今回は来年1月に迫りくる米トランプ大統領就任が裏の争点となった。世界第2位の二酸化炭素(CO2)排出国である米国の大統領が「温暖化などない」と言い張るのだから途方に暮れる。暗黙の共通認識は“トランプが来る前にまとめよう”だった。無論簡単にはいかないが排出国第1位の中国が米国に代わって大国のイニシアチブをとる対応をし始めたのは朗報だ。

★25日には英仏両国が軍部隊や軍事企業の従業員をウクライナに派遣する可能性について言及し始めた。こちらもウクライナ支援に消極的とみられるトランプ対策が始まったといえる。トランプは戦争の早期解決を言うが、それが欧州にいい影響を及ぼす可能性は低く、それを見越しての動きが活発だ。トランプが解決というのはロシアの勝利と米国の撤退。欧州だけで戦争を続けるのかが焦点になりつつあり、各国が停戦時のウクライナの条件闘争で有利に運ぶための動きとみられる。つまり停戦のテーブルに英仏は座ってロシアと話し合うというもの。

★一方、来年2月に総選挙が見込まれるドイツは与党の社会民主党(SPD)はショルツ首相を首相候補に据えた。最大野党の保守系「キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)」も猛追の対応だが、今月15日、ショルツはウクライナのゼレンスキー、ロシアのプーチン両大統領と相次いで電話で協議。ゼレンスキーは西側首脳がこうしてプーチンと個別に会談して取り込まれていくことに危機感を示した。トランプ就任前でこれだけてんやわんやなら先が思いやられるが、こちらには外交を得意としない、トランプとの会談すら実現しない首相がいる。防衛の専門家では攻めの外交は無理か。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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