<リオ五輪:競泳>◇11日◇女子200メートル平泳ぎ決勝

 金藤は、この大舞台で本来の泳ぎができたから金メダルを獲得できた。もともと実力はあった。しかし、世界選手権などでは結果が出なかった。練習通りに泳げず、失速した。この日も不安はあったはず。それでも、他の選手を引き離してタイム的には楽勝だった。

 キックの強い金藤は、ストロークが少なく大きな泳ぎが特徴だったが、世界で勝つために泳ぎ方を改良。腕のかき出しのタイミングを早くして、スピードを上げた。負荷はかかるし、体力も消耗する。しかし、トレーニングによって克服し、今の泳ぎを完成させた。テンポのいい本来の泳ぎが最後まで続いた。

 泳ぎは、わずかな心の揺れで崩れる。1度崩れたら修正できない。それを何度も経験してきた。「もう繰り返せない」の気持ちが強かったのだろう。主将に選ばれたことも、精神面でいい影響があったのかもしれない。「勝負」にかけるメンタルがいかに大事か、金藤は教えてくれた。(84年ロサンゼルス、88年ソウル五輪代表)