共通項は左打ち…広島の切り札・松山竜平が踏み締める究極の代打道/物語のあるデータ

広島が粘り強さを発揮するとき、そこには頼れる代打の存在があります。昨年の2位浮上でいえば、松山竜平がそう。代打成績は打率3割8分、21打点。今季は開幕から波に乗れずにいましたが、5月に入るや、2年ぶりとなる本塁打をかっ飛ばしました。かつて広島には「代打の切り札」と呼ばれた大先輩がいました。宮川孝雄。起用回数、安打数など数々の歴代1位の記録を持っています。松山はその先人に近づきつつあります。

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■迫る代打通算100打点

松山にはやっと飛び出した本塁打だった。5月4日のDeNA戦(マツダスタジアム)、1-1の同点で迎えた7回2死一、三塁で起用された場面だ。

徳山壮磨の3球目、149キロ速球を捉えると、打球は右翼席に吸い込まれた。勝負を決める3ランとなった。

松山の声がお立ち台で弾んだ。「この見てくれで、去年(の本塁打)はゼロ。やっと見た目通りのバッティングができました」。22年9月23日の阪神戦で島本浩也から放って以来の1発だった。

今季開幕から4月終了時までの代打成績は、12打数3安打の2割5分、打点2。いまひとつ調子が出ない中、やっと持ち前の勝負強さを発揮した。打点はこの時点で5となり、通算84打点とした。100打点超えが視野に入って来たかもしれない。

代打として打点100以上は過去5人しかいない記録だ。

①宮川孝雄118

②桧山進次郎111

③高井保弘109

④川又米利105

⑤大田卓司102と続く。トップに立つのが広島の大先輩だ。

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徳島・吉野川市出身。1974年入社。
プロ野球、アマチュア野球と幅広く取材を続けてきた。シーズンオフには、だじゃれを駆使しながら意外なデータやエピソードを紹介する連載「ヨネちゃんのおシャレ野球学」を執筆。
春夏甲子園ではコラム「ヨネタニーズ・ファイル」を担当した。