【松生理乃の言葉】初ローリー先生「難しいだろうな…」も「やります!」の理由とは?

松生理乃(19=中京大)が中部選手権を制し、来月開幕のグランプリ(GP)シリーズへ弾みをつけました。22日のショートプログラム(SP)は70・35点で1位、翌23日のフリーは116・19点で2位となり、合計186・54点で2年ぶり3度目の優勝を決めました。

大学2年となる今季は、SPは昨季の「One Day I'll Fly Away」を継続しますが、フリーでは新たに世界的振付師ローリー・ニコルさんによる「Lux Aeterna」を舞います。演技後の取材では、両プログラムに決めた経緯や試行錯誤しているポイントなどを明かしました。

今季の得点面の目標は合計200点超え。GPシリーズ第2戦スケートカナダ(10月25~27日)第5戦フィンランド大会(11月15~17日)での好演に向け、プログラムを成熟させていきます。

フィギュア

<フィギュアスケート:中部選手権>◇最終日◇22、23日◇名古屋市・邦和みなとスポーツ&カルチャー◇女子SP、フリー

2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪のプレシーズンとなる24-25年の国内大会が幕を開けました。日刊スポーツFigure365取材班では今季も、フィギュアスケーターの「言葉」を丁寧にお届けしていきます

中部選手権の女子SPで演技する松生(撮影・前田充)

中部選手権の女子SPで演技する松生(撮影・前田充)

中部選手権の女子フリーで舞う松生(撮影・前田充)

中部選手権の女子フリーで舞う松生(撮影・前田充)

SP70.35点、首位発進

-今季のSPは、どの曲で滑るかを迷ってきたと思いますが、今日は昨季と同じ「One Day I'll Fly Away」を滑りました。あらためて。その経緯を教えてください

松生 今季初戦(7月下旬のみなとアクルス杯)はジャズの楽しい曲調を滑っていたんですけど、試合の後に「去年の方が良かったな」とか「(新しくした)フリーの方が合っている」という声をいただいて。もちろん「すごくいい」「合っている」と言ってくださる方もいたんですけど、自分としてもジャンプがハマりにくくて、ペースが合わないというのがあったので、サマーカップで前の曲に戻してやってみて、そこから今季をどうするか決めようとしていました。サマーカップでは良い点数をいただけて、ノーミスの演技もできたので、こっちの方が滑りやすいなと思って。でもそれは新しい曲をやったからこそ分かったことだったと思うので、無駄ではなかったかなと思います。でも、ジャズの曲は難しかったなと思います。

-ショートプログラム(SP)はこれで決定ですか

松生 はい。決定です。サマーカップを滑ってみて「どっちがいいか決める」と言っていたんですけど、点数の出方や滑りやすさが全然違って。それは既に1シーズンやっているというのもあると思うんですけど、自分の動きのペースに合っている曲なので、すごく滑りやすくて、感情を込めやすいと思ったので、こっちにしました。

-その上で今日の演技はいかがでしたか

松生 ブロック大会から70点台を出すことができたのは、すごく収穫だと思います。次につながる演技ができたので良かったなと思います。

-夏の間に悩んだかいがありましたか

松生 試行錯誤したかいがあったなと思います。

-昨季のフリーを決めた時と似たような流れですね

松生 そうですね(笑い)。全く同じ感じです(笑い)。

昨季演目を継続した、もう1つの理由

-ご自身で「去年と今年のプログラムのどちらがいいか?」と聞いて回ったんですか

松生 そうですね。先生や周りの人には聞いてみたりしました。

-継続という決断に至ったのは、昨季滑った時にやり残したと感じる点もあったからですか

松生 サマーカップの時に、フリーは全てスピンを取ることができたんですけど、ショートではたくさん取りこぼしをしてしまって、それがすごく悔しくて。自分ではいっぱい回っているつもりだったんですけど、動画を見返したら全然回転が足りていなくて。せっかくノーミスをしたと思ったのに、取りこぼしていたのは悔しくて。練習では時間がある限りずっと回ろう、と意識して、レベルを落とさないというのはいっぱい練習してきました。

-今季序盤でジャズを滑ったのはご自身が希望したからですか

松生 自分はそういう曲調が苦手だと分かっていたので、どちらかというと今のプログラムのような曲を滑りたいと思っていたんですけど、振り付けの先生や(山田)満知子先生が「新しいものに挑戦してみてもいいんじゃない?」と言ってくださって、それで曲をいただいて。聞いてみて、でも、すごく不安があって。できない気がするって(苦笑)。それでも挑戦することは大事だと思ったので「やります」と言って、やってみました。

表彰式で笑顔を見せる、左から2位の山下、優勝の松生、3位の河辺(撮影・前田充)

表彰式で笑顔を見せる、左から2位の山下、優勝の松生、3位の河辺(撮影・前田充)

-「そういう曲調が苦手」というのは、流れるような動きは得意だけど、メリハリのある動きは苦手という意味ですか

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岐阜県不破郡垂井町出身。2022年4月入社。同年夏の高校野球取材では西東京を担当。同年10月からスポーツ部(野球以外の担当)所属。
中学時代は軟式野球部で“ショート”を守ったが、高校では演劇部という異色の経歴。大学時代に結成したカーリングチームでは“セカンド”を務めるも、ドローショットに難がある。