りくりゅうが笑顔を封印する理由「下手でもいい…恥を捨てよう」新プロで追い求める姿

フィギュアスケート・ペアの「りくりゅう」こと三浦璃来(22)木原龍一(32)組(木下グループ)が、2季ぶりのグランプリ(GP)シリーズとなったスケートアメリカで1年7カ月ぶりに競技会で優勝を飾りました。

ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪のプレシーズンとなる今季は、新たな振付師のもとでプログラムを一新。昨季まで長年にわたってジュリー・マルコットの振り付けで演じてきましたが、ショートプログラム(SP)はシェイリーン・ボーンによる「Paint it Black」、フリーはマリーフランス・デュブレイユによる「アディオス」を演じます。

イメージチェンジを図るにあたって、2人は表現面の勉強にも注力。新たな一面を模索する姿を描きます。

フィギュア

「ゴリラやん!」報道陣を爆笑させたフリー翌日

フリー翌日の一夜明け取材。

報道陣から爆笑が起こり、その中心で木原と三浦も笑っていた。

スケートアメリカを終えて一夜明け取材に応じるペアの木原龍一(奥)(撮影・藤塚大輔)

スケートアメリカを終えて一夜明け取材に応じるペアの木原龍一(奥)(撮影・藤塚大輔)

思い返していたのは、9月のロンバルディア杯から1週間後。練習拠点とするカナダ・トロントで、初めてフラメンコを鑑賞した時の話だった。

木原「すごく衝撃を受けて『かっこいいな』と思いました。その後から『こういう振り付けも入れたいね』とみんなで相談してやっていたんですけど。(胸を)たたくやつがあったんです。やったら『ゴリラやん!』と。それはどう頑張っても笑っちゃうから「ボツだ!」って」

フリー「アディオス」の振り付けの話に関連し、木原が両拳で胸をたたくポーズを見せると、三浦も屈託のない笑みを浮かべた。

今季はSP、フリーともに新たな振付師とタッグを組む。

スケートアメリカのエキシビションで演技を披露する三浦璃来(右)木原龍一組(撮影・藤塚大輔)

スケートアメリカのエキシビションで演技を披露する三浦璃来(右)木原龍一組(撮影・藤塚大輔)

スケートアメリカではSP前日、SP直後、フリー直後、フリー翌日のエキシビション前と、4度の取材機会があった。その全てにおいて、プログラムの世界観や振り付けの意図へと話題が及び、どれも楽しそうにエピソードを明かしてくれた。

2人が発する言葉に触れながら、私は半年前の記憶を思い返していた。

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岐阜県不破郡垂井町出身。2022年4月入社。同年夏の高校野球取材では西東京を担当。同年10月からスポーツ部(野球以外の担当)所属。
中学時代は軟式野球部で“ショート”を守ったが、高校では演劇部という異色の経歴。大学時代に結成したカーリングチームでは“セカンド”を務めるも、ドローショットに難がある。