辰吉寿以輝の現在地〈15〉東洋太平洋王座にロックオン

平成のカリスマ、丈一郎を父に持つ辰吉寿以輝(27=大阪帝拳)。

日本初の親子世界王者につながる道を一途に歩む。

6月21日、初めて東洋太平洋スーパーバンタム級9位にラインクインされた。

同級王者は、中嶋一輝(31=大橋ジム)。

寿以輝にとって初めてのタイトル挑戦が、視界に入ってきた。

ボクシング

「チェックメイトでしょ」

寿以輝が、東洋太平洋のランクに入ったと聞いて、大阪帝拳ジムを訪れた。

6月24日午後4時過ぎ。

寿以輝は、鏡の前であぐらを組んでバンテージを巻いている最中だった。

ランクインについて聞くと、うれしそうに言った。

東洋太平洋ランク入りして、明るい表情の辰吉寿以輝(2024年6月24日撮影・益田一弘)

東洋太平洋ランク入りして、明るい表情の辰吉寿以輝(2024年6月24日撮影・益田一弘)

寿以輝 東洋は初めてですね。やっとですね。タイトル戦に近い感じがします。タイトルマッチ、チェックメイトでしょ。

寿以輝は、日本同級10位にランクインされている。

ただ日本タイトルは、1位挑戦者の優先権や、興行スケジュールなどもあり、10位前後にランクインしても、なかなかチャンスは訪れない。

その点、東洋太平洋は、10位前後でもタイトル挑戦の可能性が十分にある。

寿以輝 (5月に)チャイワットを倒したら、もっと上だったかも。

そうもいったが、ランク入りしたことに意味がある。同級王座への挑戦権を得たことに疑いはない。

王者中嶋は8・27に防衛戦

東洋太平洋スーパーバンタム級王者は、中嶋一輝だ。

8月27日に同級7位のベテラン和気慎吾(36=FLARE山上)と、東京・後楽園ホールで防衛戦を行う予定。

8月27日に初防衛戦に臨む東洋太平洋スーパーバンタム級王者中嶋一輝(左)と挑戦者の元王者和気慎吾(2024年6月24日撮影)

8月27日に初防衛戦に臨む東洋太平洋スーパーバンタム級王者中嶋一輝(左)と挑戦者の元王者和気慎吾(2024年6月24日撮影)

「リング上に呼んでくれへんかな」

寿以輝にとっては、その試合の勝者がターゲットになる。

寿以輝 見にいこうと思っている。8月のタイトルマッチ。リング上に呼んでくれへんかな。呼んでくれたら、おいしいですね。

試合の勝者に対し、リング上で挑戦をアピールする―。

そんな青写真を描いた上で、さらにおどけて言った。

寿以輝 応援グッズがあるなら、応援しますよ。どっちでも。

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スポーツ

益田一弘Kazuhiro Masuda

Hiroshima

広島市生まれ。2000年の入社からバトル、相撲、サッカー、野球を担当して、13年からオリンピック担当。
14年ソチ、16年リオデジャネイロを取材して、18年平昌、21年東京は五輪班キャップを務める。東京五輪後に一般スポーツデスク。
大学時代はボクシング部で全日本選手権出場も初戦敗退。アマチュア戦績は21勝(17KO)8敗。