イラクは強い。攻撃陣に選手がそろいDFラインは屈強。カギはどれだけサイドを攻められるか。中央からの崩しやミドルシュートも必要だが、相手は中東特有の「ボールウオッチャー」になる傾向が強い。クロスを使って仕掛けたい。やみくもに入れてもはね返されるから出し手もひと工夫が必要。イラン戦で豊川選手をアシストした室屋選手はクロスをあげる前に右から左へ持ち直した。そういった工夫があると、より中のマークを外しやすくなる。
日本は日替わりで得点者が現れ、勝ってきた。誰が出てもやってくれるという期待感はあるが、久保選手と南野選手に期待したい。久保選手はイラン戦でも1人堂々とやっている。あの表情がすごくいい。取材ゾーンで話すときは、優しい表情をするんだけどピッチでは「やってやるぞ」という気持ちが出ていて、あの面構えがいい。
南野選手は動きに切れがある。でも本人の中で「(無得点で)まだ日本の力になれていない」という悔しさがあるんじゃないかな。取材で対談したときに「ドーハの悲劇」の話をした。あのとき一番悔しさを突きつけられたのはW杯本番のとき。「なんでこのピッチに俺たちはいないのか」って。そうならないために日本は勝つしかない。ドーハでイラクに勝って、新しい歴史をつくってほしい。(日刊スポーツ評論家)