悲しい現実だが、日本がワールドカップで勝つのは難しい。相手との力関係を考えると、3戦とも僅差ではなく大敗する可能性がある。そこで日本が決勝トーナメントに進出できるポイントを考えてみた。

 まず初戦のコロンビア。日本の持ち味を果敢に捨てることだ。GKを含む10人が自陣で守り倒すくらいの頭でいい。極端な言い方だと、FW大迫だけ前に残して2ラインの9バック感覚で結構。DFラインを思いっきり下げて、スペースを完全に消す。中東のチームが、日本と対戦する時のことを考えればいい。10人で守られ、カウンター一発で日本は過去にどれほど苦しんだか。実力上位チームにとってこれ以上嫌なものはない。

 GKとDFの間に、ロドリゲスがパスを出す空間を空けないこと、さらに彼の左足を完全に封じることだ。彼は相手の出方によってハイ、ミドル、ロー、さらに左右、中央と自由に立ち位置を変える。常に2人で挟み込み、左足で前線に蹴られないように、コースを完全に封じれば、チーム全体の破壊力は半減する。0-0で結構だ。

 セネガルはマネをどう封じるか。マネは、スピードが持ち味で、ドリブル、背後へのフリーランがよく、ミドルも両足で蹴れる。こぼれ球への反応もいい。その対策は、マネに足元でボールを受けさせることだ。とにかくスピードに乗せてはいけない。

 止まっている時のマネはそれほど怖くない。セネガルの他の選手が、彼にパスを出す選択肢として、足元を選ぶような状況を作ってあげればいい。そのため、日本のマーカーは、他の選手の時より、20センチほど距離を開ければいい。中盤だと、普段80センチでマークする距離を1メートルにする。足元に余裕があると、仲間はそこにパスを出したがる。パスを出した瞬間、一気に距離を縮めれば、マネのスピードは封じられるだろう。守備が安定してないだけに、なんとしてもマネを止めて、勝ち点3を取りたいところだ。

 ポーランド戦は、ミラーゲームでいい。相手は3-4-3で臨んでくるはずで、日本も3-4-3で選手1人1人をマッチアップさせればいい。相手はDF陣の要、グリクが負傷し、やや不安定なだけに、サイドで優位に立てれば得点チャンスはある。長友と原口は持久力もパワーもあり、サイド攻撃で勝機を見いだしたい。

 ではレバンドフスキをどう止めるか。彼は、ペナルティーエリア内の狭い空間でも、DFラインとGKの間に入ってくる。そこが怖い。ヘディングも強い。逆にゴールから遠い位置で彼がボールを受けても、それほど怖くない。主な得点源は、カウンターからサイドチェンジしてゴール前のレバンドフスキへというパターン。日本はDFラインを上げて、相手のロングボールをGKが積極的に前に出てクリアするくらいに割り切ってほしい。ボールを失った時の長友、原口の対処も大事になる。

 強豪3チーム相手に90分間、理想通りはまるかは分からないが、わずかでもいいから、その可能性を高めてほしい。1試合でも作戦通りにかみ合えばチームは勢いに乗れる。そこが、短期決戦の怖いところだ。(日刊スポーツ評論家)