ロッテが今オフ、佐々木朗希投手(23)のポスティングシステムによるメジャー移籍を容認したというニュースが野球界を駆け巡り、MLBのオフシーズンの話題が一気に佐々木に集中している。米球界の間ではドジャースが獲得最有力というのがもっぱらのうわさだが、ダメもとで獲得に全力を注いでくる球団が多いとも予想されている。

米国では佐々木をサイ・ヤング賞に2度輝いた全盛期のジェイコブ・デグロム投手(36=レンジャーズ)に匹敵する才能と評する声もある。またメジャーデビューに向けての期待は、ポール・スキーンズ投手(22=パイレーツ)並ともいわれている。スキーンズは昨年7月のドラフトで全体1位指名でプロ入りし今年5月11日にメジャデビューすると快投の連続。今季11勝3敗、防御率1・96の成績を残し、新人王とサイ・ヤング賞の最終候補入りを果たしている。佐々木もこのレベルでプロ入りからスピードデビューし、すぐにインパクトある実績を残せるとみられているわけだ。

これほどの投手を25歳未満の国際FA枠でマイナー契約で獲得できるので、各球団が目の色を変えている。海外FA選手は「国際ボーナスプール」という各球団に割り当てられた金額枠内でしか契約できない。海外FA選手の契約期間は現行ルールで1月15日から12月15日と決まっているため、米国では佐々木が今年12月15日までに契約を決めるのか、それとも来年1月15日からの新年度枠で契約するかという点に注目しているメディアも多い。

今年の枠はすでに多くの選手と契約したことにより、わずかしか残っていないという球団が多く、一番多く枠を残しているのが250万2500ドル(約3億7500万円)のドジャース。そのため12月15日までに契約するならドジャース有利なのが明らかだ。

どうなるかは分からないが、普通に考えれば来年1月15日以降の契約を目指す方が自然だろう。ポスティングシステムは交渉解禁から45日間の交渉期間が与えられるが、12月15日までに決めるとなると十分な交渉期間がない。この期限が過ぎれば国際ボーナスプール枠はいったんリセットされ、全球団がフルの枠を持った中で交渉ができる。

来年の枠は最高額が755万5500ドル(約11億3000万円)でマリナーズやレイズなど8球団が該当。最も少ない枠は514万6200ドル(約7億7200万円)でドジャースとジャイアンツがこれに該当する。さらに各球団はトレードで枠を60%まで増やすことが可能だ。

ちなみに海外FAのトップ有望株は500万ドル(約7億5000万円)前後が現在の相場のようで、佐々木なら相場を超えて契約の新記録を作るのではと予想する向きもある。マイナー契約の25歳未満選手とはいえ、その中でもやはり格というものが存在する。現在のルール下での最高額はパドレスが23年にイーサン・サラス捕手(18)と結んだ560万ドル(約8億4000万円)だ。

ただし契約金プール枠がフルにあるとはいえ、中南米のトップ有望株は契約解禁前に口約束ですでに入団が決まっているといわれているため、佐々木にフルに突っ込める球団がどれだけあるかは不明。球団が佐々木獲得のため口約束の密約を一方的に白紙にし「トラブルになるのでは」と深読みする声も出ている。【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「水次祥子のMLBなう」)

24年10月、楽天戦で力投するロッテ先発の佐々木
24年10月、楽天戦で力投するロッテ先発の佐々木
ロッテ佐々木朗希(2024年10月撮影)
ロッテ佐々木朗希(2024年10月撮影)
佐々木朗希(2024年10月14日撮影)
佐々木朗希(2024年10月14日撮影)