すっかりドジャースの大黒柱としてチームメートからも、ファンからも愛される大谷翔平。今回、MLB初取材の「ケンケン」こと日刊スポーツ横山健太カメラマンが写真とともにフレッシュな視点でレポートします。
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7月26日~28日に対アストロズ戦がヒューストンのミニッツメイド・パークで行われ、第2戦で大谷は第32号のホームランを放った。この日のホームランを大谷自身も「打った感覚は今までの中でもトップ」と自賛するほどの飛距離(今季の本塁打で9番目となる443フィート、約135メートル)と打球速度(本塁打では自己最速タイとなる118、7マイル、約191キロ)を計測していた「らしい」。
現地で撮影していた私がなぜ「らしい」と表現したかというと、撮影しているカメラマンは打球を目で追えないので飛距離や打球速度も見えていないから。もちろんボールを目で追ってファンといっしょに「うぉー!」と盛り上がりたい気持ちでいっぱいなのだが、打った後も大谷が打球を見上げる姿、ベースをまわる姿、チームメートとハイタッチをする瞬間など撮影することシーンが盛りだくさんなので、逆に冷静になり集中しなければいけないというもどかしさをいつも感じている。そのためファンが興奮する姿を撮影しつつも。なぜそんなにも盛り上がっているのだろうとふと感じてしまうこともあったのだが、この日に撮った写真は、そのもどかしさを少し解消してくれた。
この日、私自身はセンターカメラマン席から撮影し、ネット裏にもセンターからの自身のカメラを押すと連動してシャッターが切られるリモートカメラを設置していた。試合後にネット裏の写真をチェックしてみると、ホームランを打った瞬間に高々とボールが上がり一直線にライトスタンドへ飛んで着弾する連続写真が出来上がっていた。こんなに高い所まで飛んでいるのか! 普段ボールを目で追えていない自分からするとこの画角と写真は新鮮で、観客たちはこんな風景を見ているのかと、同じ時間、同じ空間にいたはずなのに、その場に呼び戻されたかのようで感動した。日本だけでなく、米国や世界の人々が大谷翔平のホームランを見て熱狂しているんだということをあらためて思い知らされた。
これからも大谷は何本もホームランを打って、そのたびに「見たーい!目で追ってみたーい!」という衝動に仕事そっちのけで駆られるだろうが我慢をしながら撮影に集中していこうと思う。【横山健太】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ケンケンのWEEKLY SHO!Time!!」)