【虎になれ】選手が「六甲おろし」を歌う年に一度の機会に思う「優勝グセ」とは
阪神の球団納会が25日、大阪市内のホテルで行われた。
オーナー以下のフロント、監督以下の現場全員がそろう1年で最後の場だ。というか、そもそも全員が顔をそろえる機会など、まずないので、これだけ一同に集うのは年に一度のことかもしれない。
そこに加え、さらにレアなことがある。虎党おなじみの球団歌「六甲おろし」を選手が歌うことだ。会の最後に選手会長以下、ルーキーが音頭を取り、選手を含めた全員で唱和する。まあ、選手はなんだか恥ずかしいのでちゃんとは歌わないのだが。だが繰り返すが選手会長、新人選手は歌うのである。
「ルーキーたちは分かるんですけど。なんで選手会長が歌うんですかね。よく分からないですね。まあめったに歌うこともないので歌いましたけど」。選手会長・中野拓夢は苦笑しながら、そう話した。
なんとなく昭和っぽい習慣であるが、伝統ある球団の証明だし、それはそれでいい気はする。何より名曲だし、自然に心躍る気はするし、一体感も生まれる。さすが「六甲おろし」だ。
会の冒頭、オーナー・杉山健博は冒頭で長いあいさつをした。エラいさんのあいさつは短い方がいいと言うのが世の習いだが、杉山にはどうしても言いたいことがあったようだ。虎番記者の記事にもあるが「優勝グセ」ということだ。
ざっと言えばこういうことだ。「プロ野球界を引っ張る立場、戦力的に見てももっと優勝回数を伸ばしていかなければならないはず。この半世紀を見ても20年に1度。これでは物足りない。悪くても2、3年に一度は優勝するべき。優勝グセをつけろ」-。
「勝ちグセ」というのは聞いたことがあるけれど「優勝グセ」とは大きく出たものだ。それでも言いたいことは分かるのである。思い出したのは闘将・星野仙一が亡くなる数年前に言っていたことだ。「これだけファンがおるのになあ。せめて3年に一度ぐらいは優勝せんとあかんやろ」。同じようなセリフが杉山から出たのを感慨深く聞いた。
この日、67歳の誕生日を迎えたオーナー付顧問・岡田彰布の後を受ける新指揮官・藤川球児にとっては、いきなり「優勝」というのは、正直、酷なような気もする。それでもファンは常にそれを待っているのだ。来年のこの席、選手たちはどんな思いで「六甲おろし」を歌っているだろうか。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)
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記者生活30年超の高原寿夫・編集委員が、今シーズンの岡田タイガースに鋭く迫ります。