第31回夏季五輪リオデジャネイロ大会は21日(日本時間22日)、17日間の熱戦に幕を下ろした。そして、陸上男子400メートルリレーの銀メダルメンバーが「打倒ジャマイカ」へ動きだす。桐生祥秀(20=東洋大)はマラカナン競技場での閉会式に参加。今後、200メートルに再挑戦することになった。後半の伸びを磨いて100メートルにも生かす構えだ。早ければ、帰国後初戦となる日本学生対校(9月2~4日、埼玉・熊谷)で2種目を走る。20年東京五輪でボルトが抜けたジャマイカに勝つため、個人能力をアップさせる戦いが始まる。
桐生は、五輪旗が小池知事に渡される光景を目に焼きつけた。20年東京五輪へのカウントダウンがスタートした。「人は4年間で変われる。次の4年で変わっていける。東京オリンピックの時は24歳で、アスリートとして最高の年齢。100メートル、200メートルで自己ベストを出していきたい」。
4年後への決意表明。その中で鍵になるのが「200メートル」だ。桐生は「100メートルと200メートルで日本記録を出したい」という目標を持つ。100メートルの10秒00(伊東浩司)200メートルの20秒03(末続慎吾)が照準だ。ボルト、ガトリンら世界のトップは1大会2種目出場が当たり前。桐生も1種目だけで終わるつもりはない。
200メートルの自己記録は京都・洛南高3年時に出した20秒41。100メートルの自己記録10秒01を考えれば、20秒1台を確実に出せるポテンシャルがある。常々「20秒41は遅いので、早く更新したい」と口にするが、今年は五輪出場を優先し、200メートルは1本も走ってない。
相乗効果が期待できる。「ジェット桐生」は中盤の加速力が持ち味。200メートルも磨けば、100メートル後半のスピード維持につながる。さらに400メートルリレーの3走は曲走路。19日の同決勝でカナダ、中国を抜いた爆発的なコーナリングの切れ味も鋭くなる。200メートル挑戦は個人種目の100メートルにも、日本のリレーチームにも大きな意味を持つ。早ければ、帰国後初戦となる日本学生対校で100メートルと200メートルを走る可能性がある。200メートルは15年4月の織田記念国際以来1年5カ月ぶりになる。
桐生以外の3人も、4年後へ明確な目標を掲げた。
山県
個人で(100メートル)9秒台に入って、東京五輪で決勝の8人に入る。
飯塚
200メートルで日本初の19秒台、100メートルでも他の3人に食らいつく。
ケンブリッジ
個人種目では100メートルで9秒台、200メートルで19秒台を出し、決勝に残って戦えるように。
リオで個人種目の決勝進出者はいなかった。「グッドなパートナーシップがある」とボルトを驚かせた、お家芸のアンダーハンドパスで銀を獲得したが、その上を目指すには個人の走力アップが必要。ボルトが抜けるジャマイカを打ち破るため、それぞれの4年間がスタートする。【益田一弘】
◆男子400メートルリレー決勝VTR
日本は5レーン。1走山県が飛び出し、前世界記録保持者のパウエル(ジャマイカ)を引き離す。続く飯塚は200メートルが本職ながら、100メートル銀のガトリン(米国)らと互角の走り。3走桐生の好走でジャマイカとほぼトップで並んでアンカーへ。ケンブリッジは隣のボルトに引き離されたものの、史上最高の2位でフィニッシュ。37秒60のアジア新記録で銀メダル。3着の米国はバトンミスで失格、カナダが銅メダルとなった。