シンクロナイズドスイミングのデュエット予選テクニカルルーティン(TR)が行われ、日本の乾友紀子(25=井村シンクロク)三井梨紗子(22=東京シンクロク)組は93・1214点、フリールーティン(FR)との合計187・5214点でロシア、中国に次ぐ3位で決勝に進んだ。もっとも決勝に持ち越す、この日のTRではミスもあり、ライバルのウクライナを0・0144点下回った。
まさかのミスが出た。乾、三井組は前半から勢いある演技をしたが、後半に同調性に欠ける場面があった。乾、三井はともに「後半のミスが悔しい」と口をそろえた。予選は3位通過も、決勝に持ち越すTRの得点だけでは93・1214点の4位。ライバルのウクライナに“逆転”された。
14日の予選FRでは完璧な演技で、ライバルのウクライナ、スペインを上回り3位につけていた。初日から幸先の良いスタートを切っていただけに、手痛いミスとなった。井村ヘッドコーチ(HC)も「93点台の後半とひそかに思っていた」と皮算用が狂ったことを認めた。
日本は前回ロンドン大会で初めてメダルなしに終わった。日本水連は04年アテネ大会後に若返りの方針で交代させた井村HCを2年前から再起用。選手たちは日本、中国で計14個の五輪メダルをもたらした井村HCによる1日12時間の猛練習に耐えてきた。粘り強さと執念はどこにも負けない。
最後まで綿密な準備を続けてきた。競技開始の2週間前の先月30日にはリオ入りした。他国がほとんど来てない中、到着当初は貸し切り状態で練習を続けてきた。現地の生活に慣れ、会場を味方にすることが狙いだった。競技優先で欠席者の多い5日の開会式にも参加。五輪という大舞台への覚悟と意識を高めた。
数日前からプールが緑色に濁り、悪臭も発生。一時は50センチ先も見えなかったが、動じる者はいない。屋外プールのグアム合宿では嵐の中で練習してきた。「みんな一緒。日本だけが汚い水ではない」と井村HCの言葉を素直に受け入れた。他国がちゅうちょする中で、日本選手は汚い水も構わず、目を真っ赤にさせて腕と足を動かした。
ウクライナとの差はわずか。乾が「最後はどれだけ勝ちたいか、気持ちの勝負」と言えば、三井も「やることはやってきた。全部出し切りたい」とたくましく言い切った。くしくも決勝の16日は井村HCの66歳の誕生日。最高のプレゼントを贈る。