【還暦野球・村田義郎の場合】夢は小学生との真剣勝負…野球振興に藤沢の振興/連載2

野球人口と未来を考えるとき、まずはピラミッドの土台をなす少年野球が思い浮かびます。同じように、シニア層にも「還暦野球」という広大な裾野が広がっていることをご存じですか。神奈川・藤沢を拠点に活動する「湘南ドリームズ」の群像をルポすると、セカンドキャリアの友に収まらない野球の奥深さが透けてきます。市井から学ぶ6回連載の第2話。

その他野球

◆湘南ドリームズ1998年(平10)設立。神奈川県還暦軟式野球連盟に所属。「ドリームズ」は、同年に「かながわ・ゆめ国体」の愛称で行われた神奈川国体にちなんだ。07年全国大会8強。還暦、古希、グランド古希の各カテゴリーに37選手が所属している。石橋正行代表。練習見学、体験は大歓迎。詳細はHP(https://shonandreams.1web.jp/)まで。

■還暦野球は、小学校の高学年と同じ規定で行われる。ここに目を付けた。

4月27日、長く藤沢市民に愛されている酒場「翻車魚丸」(まんぼうまる)の奥座敷。

湘南ドリームズのメンバーが三々五々、3台つないだ長机を囲んで胡座をかいた。

形だけの定年が当たり前になり、特に還暦チームの面々は、平日の練習にそろうことが困難に。大型連休の入り口で顔を合わせることにした。

1つのボールに集う仲間がいる特権。

肩書を傍らに置いた白秋の大人たちは、地魚と先週の試合内容を極上の肴に「つかの間」を楽しんだ。

2時間ほどして1人語りを聞く場になった。反時計回りの終盤、3番ショートの村田義郎(64)が「最近、やってみたいことができましてね」と春先から温めてきた夢を打ち明けた。

「野球を通して恩返しがしたいんです。野球振興と、地域振興。で、考えたんだけど、小学生のチームと真剣勝負をするのはどうかと」

還暦野球は、小学校の高学年と同じ規定で行われる。ここに目を付けた。

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1999年入社。整理部―2004年の秋から野球部。担当歴は横浜(現DeNA)―巨人―楽天―巨人。
遊軍、デスクを経て、現在はデジタル戦略室勤務。
好きな取材対象は投手、職人、年の離れた人生の先輩。好きな題材は野球を通した人間関係、カテゴリーはコラム。
趣味は朝サウナ、子どもと遊ぶこと、PUNPEEを聴くこと。