【宇都宮ブレックス〈61〉】村岸航のワークアウトに密着 来たる日に備えて(下)

村岸航選手(27)の自主練習日のワークアウトに密着し、心境と今後に迫った連載の2回目です。プレータイムがなかなか増えない現状への苦しい胸の内を明かしてくれた一方、仲間の気遣いに感謝し、プレー以外でもチームに貢献しようと意識している事を教えてくれました。もちろん、このままでいいはずはありません。どう這い上がっていくか、その時に向けて準備していくか、考えている事を明かしてくれました。(取材は10月29日に行いました)

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「練習で結果を出すしかないと思っています」

高島選手と一緒にウエイトトレーニングに励む村岸選手。10月29日の自主練習から

高島選手と一緒にウエイトトレーニングに励む村岸選手。10月29日の自主練習から

およそ2時間のワークアウトとウエイトトレーニング終了後、日環アリーナ栃木のサブアリーナの一角に椅子を並べ、インタビューを開始した。

これまでのようにチーム全体練習後の取材ならば、残って個人練習をしている選手たちの声やボールの弾む音で賑やかなのだが、自主練習日なのでアリーナ内にはスタッフが数人いるだけ。私の質問に対する村岸選手の心情や心の揺れがストレートに伝わってくるような気がした。

―試合でなかなかプレータイムが増えていかない状況では、チームの練習でアピールしようと考えるものですか

はい、練習で結果を出していくしかないと思っています。オフェンスの面で言えば、自分本位にガツガツ行くというよりはチームがつくったプレーの中でいかに確率良く決めていくかというところを意識しています。ディフェンスやリバウンドでは、自分の裁量で強度を上げることができるし、求められているのはそこだと思うので、エナジーを持ってやっています。

―7月にインタビューをさせてもらった時、早くの自分のセットオフェンスをつくってもらえるようにしたいとおっしゃっていました。

コーチの方々は、あの選手はこのプレーが得意だから出した時はこう使おうと、いろいろ考えてくれていると思います。でも現状、ブレックスの他の選手と比べて僕が突出して高い技術を持っているわけではないですから、まだ自分のセットオフェンスはありません。チームに与えられた戦術の中で、自分をどうアピールしていくかという事を考えています。

10月29日の自主練習から

10月29日の自主練習から

―昨シーズンと今シーズンでコーチ陣から求められている事が違ってきているのですか

目指すところ(リーグ優勝)は一緒でメンバーも一緒なので、大きくは違わないとは思います。ケビンは昨シーズンよりも速いテンポのバスケをしたいと言っていますし、アグレッシブにシュートを打っていくとか、ディフェンスの強度を上げたいとシーズン最初から言っています。スタンダードの基盤は昨シーズンと一緒ですが、もっと強く遂行する、強度を上げていくというところだと思います。

―今シーズンに入って、ブラスウェルHCからどんな事を言われていますか

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1988年入社。プロ野球を中心に取材し、東京時代の日本ハム、最後の横浜大洋(現DeNA)、長嶋巨人を担当。今年4月、20年ぶりに現場記者に戻り、野球に限らず幅広く取材中。