ラストスパートへの潤滑油
旧ソ連時代、ロシアではMELS(メルス)という名前がメジャーだった。Mはマルクス、Eはエンゲルス、Lはレーニン、Sはスターリン。革命家と共産党の最高指導者のイニシャルを合わせたもの。91年のソ連崩壊後、ひそかに改名する人が続出したという。
名前に関する逸話を教えてくれたのは日本語ボランティアのユリア・クレソワさん(21)。ちなみにクレソワさんのユリアは、ローマ帝国の英雄シーザーのロシア語読みの名前ユリウスから。「父がシーザーを好きで強い人間になって欲しいと思ったようです」。名前に、親の願いが込められているのは、ロシアも同じのようだ。
自力で初出場となる女子アイスホッケーの鈴木世奈は、F1好きの父からアイルトン・セナと世界に羽ばたくとの意味を込めて名付けられた。セナの事故死のときは2歳。「音速の貴公子」といわれた走りは記憶にないが、親の思い通りに世界の舞台に立った22歳は「名前を覚えてもらえるからありがたい」と気に入っている。
自分の名前は潤。周りの人を潤わす存在になるようにとの願いも込められたと聞く。ソチ五輪も閉幕まであと5日。本紙取材陣の潤滑油になるべく、ラストスパートを掛けていきたい。【田口潤】
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