少しの英語とボディーランゲージがあれば、大概のことはどうにかなります。ソチでの生活にも慣れてきた頃、喉が痛くなりました。日本から持ってきていた風邪薬を飲んでみましたが、せきが出る。そういえば、とメディアセンターの中にある小さな薬局へ向かいました。

　白衣を着たおばちゃんに「せき止めの薬がほしい」と英語で伝えると、表情は「？」。ゴホゴホとせきをしてみせると「なるほど」という顔で、指さされたのは箱にティーカップの絵がプリントされたお茶の箱。いやいや、お茶の葉じゃ困る。「ニエット（ロシア語のノー）」。おばちゃんが次に指さしたのは、小さな白い箱。大丈夫かなと、４００ルーブル（約１２００円）で購入しました。

　お会計を終えると、おばちゃんが「ワンデー、ワンカプセル」とひと言。そこで私の心に一抹の不安が…１日に１カプセルしか飲めないせき止めって、日本では見たことない。違う薬なんじゃないか？　怖くて飲めない！

　試合会場で日本語のできるロシア人通訳さんを見つけ、箱を見せると「これはインフルエンザの薬ですね」とにっこり。やっぱりせき止めじゃなかった！　飲まなくて良かった。いつの間にか、せきも止まっていました。【保坂恭子】