さすが自転車大国！　五輪公園を歩けば、なじみの光景に出合う。各国のジャージーでにぎわう歩道を、人の波を縫うようにスイスイと。鍛えられた脚を動かして、軽快に自転車をこぐ姿だ。

　冬季五輪では珍しく、各競技会場が集まった五輪公園があるソチ。選手村からも徒歩圏内にあり、日本選手も「移動が楽」と喜ぶ声もあったが、世界はさらに上を行く「楽」を用意していた。

　英国、チェコ、カナダなど国旗のカラーをあしらった特製自転車がそろうなか、私見でＮＯ・１はオランダ。サッカーで有名な「オレンジ軍団」のだいだいカラーで、最大の特徴は前部。かごの代わりに、中型のスーツケースを乗せられるように台がついているのだ。

　国土の約４分の１が海抜より低いため、平たんな道が多い。移動手段として自転車が確立しており、人口１人あたりの台数は世界一とか。「オランダでは珍しいタイプではないよ」とショートトラック選手に誇られたが、日本では十分珍しい。そしてスタイリッシュ。

　２０年の東京五輪も、ウリの１つはコンパクトさ。ソチでは日本選手団の備品に自転車はないが、６年後にはその分野でも「ジャパンテクノロジー」を駆使した最先端の自転車を見られないかなと夢想している。【阿部健吾】