「第56回全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)」が2012年1月1日、前橋市の群馬県庁前発着点に行われ、7区間100キロに37チームが参加して駅伝日本一の座を競う。日清食品グループが世界陸上1万メートル代表の佐藤悠基(25)を中心に2度目の栄冠を狙えば、トヨタ自動車は層の厚さで連覇に挑む。また旭化成は世界陸上マラソン7位の堀端宏行(25)を軸に古豪復活を期す。09年、11年と1秒差での大混戦決着で、今回も最後まで目を離せない展開になりそうだ。

 V奪回を目指す日清食品グループは佐藤が大エースに成長した。学生時代は箱根駅伝で3年連続区間新を出した“駅伝の天才児”。入社後2回のニューイヤー駅伝でも連続区間賞。今年の東日本予選は1区で独走し、「自分のリズムで行った方が楽」とレベルの違いを見せつけた。

 強さの裏には徹底した自己管理がある。食べ過ぎてしまったり、不規則な生活から夜眠れないなどは絶対にない。白水昭興監督(69)は「練習はどこも同じようなことをやっているが、自己管理はなかなかできない」と佐藤を高く評価する。多少の後れは4区の佐藤で取り戻す。トップに近い位置でタスキが渡れば独走態勢に持ち込める。

 また若松儀裕(25)の走りにも注目だ。東京電力の活動中止に伴い移籍し、東日本予選5区では区間新と快走。「いろいろな思いがある」と静かに燃えている。

 北村聡(25)座間紅祢(26)ら有力選手が東日本予選を欠場したが、きっちりと復調してきた。「良い緊張感が選手たちに出てきている」と白水監督も手ごたえを感じている。大エースの存在とそれを支える選手たちの充実。日清食品グループが勝ちパターンにはまりそうだ。