本紙評論家の小塚崇彦氏(28)がデータを元にオリンピック(五輪)フィギュア競技の見どころを語る第2回は女子シングル。現在、メダル候補選手のジャンプの難度はほぼ同じ。その中で「ミスをしないのが大前提。GOEで差がつく」と小塚氏は言う。

 GOEとは、技1つ1つの出来栄えを示す得点。ショートプログラム(SP)は7要素、フリーは12要素それぞれの基礎点に点が足し引きされる。主要選手の今季合計ベストをみると、1試合あたり20点前後の上積みがある。GOEのマイナス評価は、宮原のグランプリ(GP)シリーズ、スケートアメリカのSP連続ジャンプのみ。どの選手も、いかにミスなく加点を重ねているかが分かる。その中で群を抜くのが、世界女王のメドベージェワ、今季GPファイナルを制したザギトワ(ともにロシアからの五輪選手=OAR)だ。

 小塚 2人はGOEで他の選手に差をつけている。特にザギトワは、得点が1・1倍となる演技の後半にジャンプを集めている分、基礎点も高い。加点の小さな積み重ねによって、大きな点数差が出てくる。他の選手は、トリプルアクセル(3回転半)や4回転をやらない限り、この数字にはかなわない。

 金メダルを争うこの2人の力が抜けているが、続くメダル有力候補、世界選手権銀のオズモンド(カナダ)、14年ソチ五輪銅のコストナー(イタリア)には、日本の宮原、坂本も「追いつく余地がある」という。

 小塚 感覚では、日本の2人はメダル争いの5番手ぐらいにつけている。ステップ、スピンで取りこぼさないなど完璧な演技をすれば3位がみえてくる。

 左股関節疲労骨折のリハビリを経て昨年11月に実戦復帰した宮原は、ここまでジャンプの回転不足で度々GOEがマイナスとなっている。小塚氏はここもポイントに挙げる。

 小塚 回転不足をなくせば、マイナスがプラスに転じ、ずいぶん差が縮まる。今季のフリーだけみれば、コストナー、オズモンドより高い点数も出している。

 浅田真央の10年バンクーバー五輪銀以来、2大会ぶりの日本女子メダルを期待したい。【取材・構成=高場泉穂】


小塚崇彦氏(17年12月14日撮影)
小塚崇彦氏(17年12月14日撮影)
18年1月24日、フィギュアスケート4大陸選手権 女子ショートプログラム(SP)演技を披露する宮原知子
18年1月24日、フィギュアスケート4大陸選手権 女子ショートプログラム(SP)演技を披露する宮原知子
17年12月23日、フィギュアスケート全日本選手権 午前練習で調整する坂本花織
17年12月23日、フィギュアスケート全日本選手権 午前練習で調整する坂本花織