パリオリンピックの余韻が残るなか、日本国内では全国大会ラッシュが始まっている。

8月17日、20日にかけては、第92回日本高等学校選手権が開催された。会場は大分県別府市営青山プール。今大会には、パリオリンピック銀メダリストとなった玉井陸斗(須磨学園)が出場しており、大きな話題となった。

オリンピックの帰国から、わずか1週間。まだ若いとはいえ、過酷なスケジュールだ。しかし、そんな状況でも疲れを感じさせない圧巻の演技を披露。2位と218・30点の大差をつけ、672・80点で優勝した。世界トップの演技に、会場からは大きな拍手がおくられた。

一方、金沢プールでは同日程で第64回全国中学校体育大会が開催された。今回、私は副審判長として参加させてもらった。

男子は茶木琉聖(大分・青山)、女子は井上優奈(高知・土佐女子)が板飛込、高飛込の両種目で優勝を飾った。まだジュニアでありながら、両選手ともに体幹がしっかりとしていた。そして、空中姿勢も美しかった。特に、見せ場となる抱え方からの鋭い伸ばしはこれからの活躍を期待させてくれた。

その他にも、男子高飛込では10メートルで6243D(逆立ち後ろ宙返り2回1回半捻り・自由型)を飛んだ金箱琉海(愛知・鳴海)、女子では3メートル板飛込に出場した赤木晴音(鳥取・弓ヶ浜)が、107C(前宙返り3回半・かかえ型)や205B(後ろ宙返り2回半・えび型)という高難度の技に挑戦していた。まだ完成度としては未熟ではあったものの、今後の成長が楽しみな選手である。

そして、個人的にとても目を引いたのは、男子の浜田悠希(高知・春野)だった。小柄な体型だが、立ち姿勢、空中でのフォームはとても美しく一際目立っていた。しかし、入水の安定性にはまだ課題がある。それでも、そこを克服すれば世界で戦える選手になる可能性を感じた。

今大会では副審判長という立場もあり、全試合をじっくりと観させてもらった。

予選会を勝ち抜いてきた選手とはいえ、まだジュニア。緊張で表情が硬い子も多く、心の中でエールを送った。試合後には、良い結果で満面の笑みを浮かべる子もいれば、思うような結果が出ず悔し涙を流す子も。どちらも一生懸命に取り組んだ結果だ。今は「みんなよく頑張ったね!」と甘い言葉が浮かぶが、現役時代は誰よりも勝負にこだわっていた私。どこか母親のような目線で選手たちを見ている自分に気づき、時の流れを感じた。

夏になると試合は毎週のように行われている。つい先日まではJO(ジュニアオリンピック)が開催されていた。そして、今後も日本選手権、日本学生選手権、国民スポーツ大会と全国大会は続く。

試合で緊張する選手は多いだろう。それでも、たくさん頑張ってきた自分に自信を持って臨んでほしいと思う。選手たちにとって、この夏が最高の思い出になるよう陰ながら応援している。(中川真依=北京、ロンドン五輪飛び込み代表)

(ニッカンスポーツ・コム/スポーツコラム「中川真依のenjoy!ダイビング」)