往路108キロを自転車で試走 天下の険は厳しかった…
自転車ページのコラム「自転車事始」と「休日は風になる」でお馴染みの、チーム日刊のこやじライダーこと横山元保(42)と、でんめおやじこと石井政己(52=ともにメディア戦略グループ)が12月10日、自転車で往路108キロを走り、コースの感触を自分の足で確かめてきました。5区途中まではこやじライダー、5区の厳しい上りはでんめおやじがリポートします。
午前6時55分。大手町KDDIビル前でスタート準備するこやじライダー
<1区=21・4キロ>
全体に平たんなコースなのだろう。こやじには都会が似合う? と一瞬勘違いするほど快調にスタートが切れた。8キロ手前の八ツ山橋の坂が最初の仕掛けどころか?
そして15キロ過ぎの京急蒲田の踏み切り。3年前までこの付近に住んでいましたが、「すっかり様子が変わってしまった」と驚くばかりです。六郷橋を渡ると前方右手に富士山の姿が! 下りを利用して一気に加速し神奈川県に突入。鶴見の中継所に到着です。
日比谷通りから国道15号とほぼ一直線に走るイメージ。とても走りやすいコースです。
午前8時3分。鶴見中継所で余裕のポーズのこやじライダー
<2区=23・2キロ>
各校のエースが集う花の2区ですから、気持ちを引き締めます。でんめおやじの背中をしっかり見据えながら、快調にペダルを回します。国道1号に入り、本番ではたくさんの観衆が集まる横浜駅前を通過します。ちょうど、通勤ラッシュ。会社に向かう人たちを観衆に見立てさっそうと走りますが、油断は禁物。バスやトラックがビュンビュン走ります。
赤信号で停止するたびに左足のビンディングを外していたのですが、そろそろ、ふくらはぎが震えてきました…。
予習したとおり14キロからの権太坂とゴール手前の坂をどう攻略するかが、勝負の分かれ目ですね。一部、戸塚警察署付近で自転車走行不可な場所があり、迂回(うかい)しました。コースに戻る際に約50メートルほどですが急こう配の坂が。この時は何とか上れたのですが、「箱根はリタイアか?」と不吉な予感がしたのでありました。
午前9時35分。戸塚中継所。笑顔の中に少し疲れが見えるこやじライダー
<3区=21・5キロ>
まだまだ元気です! 前半はゆるやかな下り坂ですね。本当に坂は快適です。4キロ付近の東俣野橋歩道橋で国道1号に別れを告げ県道30号に入ります。さらに8キロ弱進むと浜須賀の交差点。潮の香りが、海に近づいていることを教えてくれます。国道134号に入ったとたん、富士山の絶景が飛び込んできます。「なんて、すてきなんだろう……」。
午前10時43分。湘南大橋の右手には富士山!
見とれていたら、でんめおやじとの差は広がるばかり。実は中間地点からなんとなくでんめおやじに20〜30メートルほど遅れる回数が増えだしました。事前に「国道134号に入れば、追い風だから、気持ちいいぞ!」と言われていたのですが、微妙な向かい風。しかも、尿意が…。景色を楽しむことも満足に出来ず、平塚の中継所に飛び込みました。
午前10時56分。平塚中継所。トイレを済ませ、すっきりした顔のこやじライダー
<4区=18・5キロ>
何とかトイレ、間に合いました(笑)。食料も補給し、万全ですが。なんとなくふくらはぎが震えています。
平たんなコースというイメージです。1、2区と違い、のどかな風景が広がります。ただし、こやじライダー、下を向いている回数が増えました。でんめおやじに離される回数も増えました。信号待ちするでんめおやじに追いつきますが、こやじはほとんど休む暇がありません…。「大丈夫か?」という問いかけにただただ、うなずくだけです。
15キロ付近の酒匂橋を渡ってると「酒の臭いがするぞ」。幻覚か? それともアルコールが飲みたいだけか? 自問自答している間に小田原中継所に到着です。こやじは5区に入って満足に山を上ることなく大手町を出発してサイコンの数字が97・23キロをさした地点で右足がつり、リタイア……。 駅伝同様、コース紹介もおやじライダーにたすきをつなぎます!
正午。疲れが顔にありありと出ているこやじライダー
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
さて、こうしてたすきを受けたでんめおやじです。こやじライダーを箱根湯本駅手前の三枚橋で3分待ちました。風祭で「ここが復路の小田原中継所だよ」と説明したときにはすぐ後ろにいたのですが…。
午後0時29分。箱根湯本駅手前。ガッツポーズをしているこやじライダーだが…
「ちぎれたらそれまでな」「了解です」。三枚橋でそう言葉をかわし再スタートしましたが、塔の沢の先の箱根登山鉄道の鉄橋で振り返ると、こやじライダーの姿はすでにありませんでした…。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
<5区=23・4キロ>
小田原中継所から風祭までは緩やかな上り。その先の箱根新道入り口手前でちょっときつくなり、やがて下って旧街道との分岐となる三枚橋へ出ます。そして箱根湯本駅から本格的な上り。標高差864メートルを一気に駆け上がるのです。大平台のヘアピンカーブでぐいっと上りますが、宮ノ下手前は傾斜が緩やかになります。
左へ曲がる宮ノ下交差点が中間地点。そして、ここから上りがきつくなります。でんめおやじのサイコンは時速6〜8キロをいったりきたり。ところが、「東洋の魔神」とも「山の神」とも言われる東洋大・柏原は平均時速18・2キロ(09年)で駆け抜け、この宮ノ下の先で4分26秒差の首位だった明大・久国をとらえています。5区で一番きつい区間での逆転劇でした。
小涌園あたりでこう配はひと息つきますが、きついことに変わりはありません。
15・3キロの恵明学園前のカーブをへろへろになりながら上っていたら、おじさんに声をかけられました。「どこまで行くの?」。「駅伝のゴールまで」と息も絶え絶えに答えると、「頑張って。おっ! 後ろから来てるぞ。柏原が!」。本当? と思って振り向きましたが誰もいませんでした(^_^; いやぁ、本当に柏原がいたらいいネタになったのですが…。
実はでんめおやじも鎌倉古道入口の先の17キロ地点で右足がつり、ストップを余儀なくされました。恐るべし「天下の険」。チーム日刊をただでは上らせてくれません。ここで引き返すことも考えましたが、半分仕事で上っている以上、ヘタレたことはできませんね。数分間休んで、芦ノ湖目指し再スタートを切ります。
芦の湯入り口のエネオス前からは一度下った後、国道1号の最高標高874メートル地点を目指して最後の上りが待っています。18キロ以上におよぶ上りもここをこなせば終了。道はようやく下りますが、09年の柏原はこの下りの途中で4分58秒差の首位だった早大・三輪を最初にとらえ、デッドヒートを繰り広げ、最後は抜き去りました。
大芝交差点へ下る坂では芦ノ湖が目の前に広がります。自転車はこがなくてもいいので楽ですね(^o^) ここなら柏原より速いぞ。
午後2時27分。元箱根にあった横断幕。3冠か3連覇か? 果たして…
芦ノ湖の湖畔はやや上り基調ですが、関所前からは下ります。そして駅伝ミュージアムの前を右に曲がってゴールとなります。
到着は午後2時半ごろ。小田原中継所から約2時間20分かかっています。柏原は1時間17分8秒です。チーム日刊、山の神に敗れる…。ちなみに大手町からここまでは約7時間20分。昨年の往路優勝の東洋大は5時間32分2秒でした。
午後2時36分。芦ノ湖ゴール横にある「箱根駅伝栄光の碑」
この日の気温は5度。寒いです。本当ならここへ泊まってのんびりして、翌日、復路を走って帰りたいところですが、会社がそれを許してくれません。寒さに凍えながら、でんめおやじは山を下りました。復路試走は来年の課題ですね。