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3. 第87回箱根駅伝
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　０１年の別府大分マラソン優勝者で、現在は俳優として活動中の西田隆維（３３）が、駒大時代に４年連続出場した箱根駅伝を振り返る。１年生で３区デビューし、２、３年次には１区を快走。学生最後の４年次には復路のエース区間と呼ばれる９区で区間新と優勝に貢献した経験を熱く語った。

＜１年・３区（２１・３キロ）１時間１２分１秒＞

　初めての箱根で、他の試合とは別物でした。沿道の雰囲気が全然違う。沿道は熱いけど、道路を１人で走っていると孤独というか「ただ１人で走っている」という感じだった。

　３区は区間記録を見ていただいても分かるけど、向かい風が強いんです。いつものペースで走れない。ペースがどんどん落ちていった。もう歩いてもいいかな、と思ってしまう。きついとかではなく「歩いたらどうなるんだろう…」と考えました。

　箱根をそこまで深く考えたことがなかった。（重圧は）なかったけど、ただ走るだけで終わっていた。メンタルが出来てなかったんですね。取材もすごいし、勝負のイメージはヒーローぶっているけど、レース前には違うものになっていた。舞い上がってしまったんですね。

＜２年・１区（２１・３キロ）１時間３分４３秒＞

　１区は楽でした。スタートだし、僕は下手を打たなければタスキはつながるわけですから。とりあえずトップと２０秒差ぐらいでいけば問題ないだろうと、プレッシャーはなかった。孤独は嫌だったんで、頭の中で「１区を走ろう」と思っていた。監督にアピールしたわけではなかったんですけど、指名されましたね。

　前の年に走ったことで、メンタルは出来ていた。ただ出るだけではない。みんな一斉のスタート。前にも後ろにも、横にも選手がいる。自分の思うようにいきました。自分の目標タイムには届いていたし、やってきたことが出来ていると感じることが出来たんです。

＜３年・１区（２１・３キロ）１時間４分４秒＞

　区間賞を取るつもりでいました。門限を破ったときも監督に「取りますから」と約束しちゃった…。（敗因は）勝負のポイントを間違ったことと、レース展開を読めなかったこと。残り３キロでスパートするつもりだったのが、足が持たなかった。自信はあるけど周りが見えてなかったんです。周囲の選手がどれだけ余裕があるか見えてない。

　基本的に駒大はマークされている。ただスローペースで「このままのペースで行くんですか？」と他の大学の選手に走りながら聞いたぐらい。何も答えてくれませんでしたけど（笑い）。前年１１月の全日本大学駅伝でスパートをかけるのが遅かったこともあって、早めにかけたんですけど、他の選手にも余裕があったんですね。

＜４年・９区（２３・０キロ）１時間９分０秒＞

　実業団に行くことも決まってましたし、区間賞は当たり前、区間新をと考えてました。９区は前半下りで、その後は平たん。逆に往路の２区は最後の上り３キロが半端じゃない。今でも山登りの５区と２区は走りたくないですね（笑い）。

　トップでタスキを受けて、走っているときはもう自分の世界でした。全然不安はなかったんですけど、２２キロで橋を渡るとき、時計を見たら危うくなった。水分が足りなかったのかもしれないけど、頭が突然パニックになった。手に力は入らないし、自分の体じゃないみたいになる。怖いですよね。

　（区間新で駒大も優勝し）達成感はありましたね。目標を達成できた安ど感があった。箱根は僕にとって今の「きっかけ」ですよね。走っていなかったら注目されることもなかったし、役者も目指していなかった。自分を披露できた。

　（現役選手は）走った後、自分がどうなりたいかを考えた方がいいですよね。僕も注目されることが武器になった。出られること、どう生かすか。その先に、また違った世界がありますから。