<バレーボール:全日本高校選手権:大村工2-0聖隷クリストファー>◇3日目◇男子3回戦◇7日◇東京体育館

 男子で初の8強を目指した聖隷クリストファー(静岡)が、大村工(長崎)にセットカウント0-2で敗れた。序盤からエース杉本匠(3年)が徹底マークに遭い、得意の攻撃パターンを封じられて第1セット(S)を落とすと、第2Sも巻き返せずにストレート負けした。15度目の全国で、またしても厚い壁に阻まれ16強に終わった。夢は後輩たちに託された。

 逃げに回ることだけはしたくなかった。第2S、19-24で迎えた相手のマッチポイント。サーバーの杉本に下出谷剛生(3年)が言った。「攻めろよ!

 強気にいけよ!!」。強烈なジャンピングサーブから1点を奪ったが、続く2本目は大きくコートを外し、聖隷クリストファーの敗退が決まった。杉本は「強気で打っていく気持ちを込めたけど、思った通りのサーブは打てなかった」と悔し涙を流した。同校最高となる8強進出の目標は達成できなかったが、最後まで攻めの姿勢を貫いた。

 エースが封じられた。ウイングスパイカーとしてチームの攻撃の要は、相手の徹底マークにあった。スパイクには3枚ブロックが立ちはだかり、指先を狙ったボールはコートから外れた。第1S終盤、ベンチに下げた田川明浩監督(43)から、逆サイドのスペースを狙うように指示を受けたが、ネットに阻まれポイントを相手に与えた。同監督は「杉本で勝ってきたチーム。よくも悪くも、杉本で終わってよかったんじゃないか」と話した。

 この日、奪ったリードは1度だけ。下出谷は「ベスト8に入るには、強い相手を倒さないといけない」と大きな差を感じながら、またしてもベスト8の壁に阻まれた。田中翔汰(3年)は「来年も出場して、結果を残してほしい」と後輩たちに夢を託した。最後まで笑顔でチームを盛り上げた谷口雄矢(3年)は「最後の最後をオレンジコートで終われて幸せでした」と、高校バレーに別れを告げた。【栗田成芳】