大学でも全国大会出場を目指し、北東北大学リーグで富士大や八戸学院大などと競い合った。そこに、もう2つめの原動力となる存在がいた。
富士大からドラフト4位で広島に入団した渡辺悠斗内野手(22)だ。「勝手ながらライバル視させてもらっていました」。八戸は2年秋から3季連続でベストナインをつかんでいたが、昨春のリーグ戦では渡辺に優秀選手賞、最多本塁打賞、最多打点賞、ベストナインを獲得された。「この年が本当に悔しかった。どうしても勝てないタイトルばかり」。富士大と他のチームの試合での渡辺の打席もチェックし、常に意識した。そして昨秋、首位打者とベストナインを獲得した。「渡辺悠斗というライバルがいたから取れたんだと思います」。
4年間の集大成で一矢報いたが、今もなお、渡辺を超えたい思いがある。大学時代はコンタクト率を重視。打率を残せる打者だったが「プロに行く選手はそれだけではない。今の自分の、一番いいスイングの最大限が二塁打や三塁打。それを、ホームランにならなかった結果、二塁打や三塁打になるスタイルにしたい」。それこそ渡辺のような、最大値が本塁打の打者を目指しつつ、自身の新たなスタイルを確立していく。「(渡辺を)超えることを目指してやっていきたい」と目をぎらつかせた。
卒業後、日本製鉄室蘭シャークスで野球を続ける。最大目標はプロだが、まずは企業を背負い、プレーに責任を持ってチームで全国を目指す。「大学でも全国に出られなかった悔しさがあるので、社会人野球の2大大会にまず出たい。悔しさは社会人での全国大会にぶつけたいです。社会人では、絶対に」。2つの原動力を胸に、全国へ挑み続ける。【浜本神威】
◆八戸康冶(はちのへ・こうや)2002年(平14)8月29日生まれ。青森県青森市出身。2、3歳の頃から野球に触れ、三内小では安田ヤンヤン少年野球チームでプレー。青森山田中時代は青森山田シニアでプレーし、以降、青森山田高-青森大。北東北大学リーグでは、ベストナインを4度獲得。好きな野球選手はレッドソックス吉田正尚。177センチ、90キロ。左投げ左打ち。
◆日本製鉄室蘭シャークス 前身の新日本製鉄室蘭が94年8月に休部。96年にクラブチーム『室蘭シャークス』として設立し、96年の日本選手権大会に初出場。01年には都市対抗野球大会に初出場を果たした。19年に現チーム名に変更。最高成績は、96年日本選手権大会での2回戦。