【日本ハム】吉報に電車で「えっ」育成山口アタル、新庄監督の期待に応え“３打数４安打”やるぞ
“3打数4安打”やるしかない！ 育成3年目の日本ハム山口アタル外野手（25）が21日、キャンプ1軍スタートに大抜てきしてくれた新庄剛志監督（52）の期待に応えることを誓った。吉報から一夜明け、千葉・鎌ケ谷の球団施設で自主トレ。指揮官から高評価されている打撃を中心にレベルアップを図ったオフの取り組みの成果を沖縄・名護キャンプで示し、プロ野球人生最大のチャンスをつかむ。
◇ ◇ ◇
山口は吉報を意外な場所で受け取っていた。20日に発表された春季キャンプのメンバー振り分け。球団から連絡がきた時は「ちょうど電車に乗ってた」。トレーニングを行う外部施設へ向かう途中だった。電車内でスマートフォンの画面を凝視。1軍外野手の欄に「山口アタル」の文字を見つけて「『えっ』と思った」。思わず声が出そうになったが我慢。その代わり「ちょっとだけ…」と表情はニヤけた。
想像していなかった。「ぶっちゃけ自分が一番びっくりしてたかもしれない…（笑い）」。まさかの1軍スタート。育成選手では、ただ1人の大抜てきだ。「とてもうれしかった。この2年間、ケガが多くてもチャンス与えてくれたのは…。ちょっとごめんなさい、誰が（1軍と）決めたか知らないんですけど…感謝の気持ちがとてもありました」。いろんな感情が電車内で込み上げた。
実は8日に鎌ケ谷で行われたスタッフ会議で、山口を1軍メンバーに振り分けたのは新庄監督だったという。20日の12球団監督会議後に指揮官は「バットの出がいいから（支配下選手になったら1軍で）“3打数4安打”ぐらい打つんじゃないかな」と、打率10割超えとなる“規格外”に高い期待を口にしていた。
絶対に応えたい。山口は「3打数4安打（笑い）。そう監督から期待されているから、やるしかない。打つしかないっすよ」。プレー映像をNPB全球団に送り、入団テストを経て22年ドラフトで日本ハム入り。カナダ出身の男に宿る不屈の魂が、燃え上がった。
今オフは国内でレベルアップを図った。鳥取では初動負荷トレーニングで硬かった体の動きを改善。指揮官から評価された「バットの出」はそのままで「多少ポイントがズレても強い打球を打つ目的」でスイングを体の角度と並行にする「縦振り」に修正した。入団時はおぼつかなかった日本語も「最近は『相席食堂』を見て、ちょっとうまくなったかも（笑い）」と、バラエティ番組を見て進化中。強肩、俊足、強打、そして勤勉家でもあるスターの卵が、気合十分で名護へ向かう。【木下大輔】