【リオデジャネイロ22日(日本時間23日)=荻島弘一】五輪4連覇を逃したレスリング女子53キロ級の吉田沙保里(33)が22日、現役引退を示唆した。出国ラッシュのリオデジャネイロ空港で「引退も頭の中に出てきた」と発言。指導者としての再出発にも前向きで、今年中にも会見して引退発表する可能性が浮上した。
衝撃の敗戦から4日、吉田はすっきりとした表情で金メダルの後輩たちと空港に現れた。「日本選手団の主将として、しっかりと役目を果たしたい」と25日の解団式に向けて話し、今後については「すぐには決められない。ゆっくりと考えたい」と繰り返した。
もっとも、気持ちが引退へと傾いているのは確か。「頭の中にある」と否定せず、栄和人チームリーダーによれば至学館大と日本代表コーチの就任へも前向きだという。さらに「姉」とも慕う栄氏の妻怜那さんに「もう悔いはありません」と感謝を伝えていた。
ただ、吉田ほどの存在になると軽々しく「引退」と言えないのも事実だ。所属事務所との話し合いや、スポンサーとの契約見直しなどクリアすべき点は多い。今後は至学館大に残って後輩の指導にあたることが有力で、代表コーチや強化委員就任にも前向きだという。「どんなポストも用意する」と同大の谷岡学長。子ども好きの吉田のために「(大学に付属する)幼稚園の園長就任」という仰天プランもある。
課題のクリアを条件に、栄チームリーダーは「本人の気持ちが固まれば、引退会見を開く」と話した。「霊長類最強女子」の吉田が、東京五輪での女子全階級制覇をサポートする。