【少年野球に迫る第8弾】藤井風の町からやってきた~「何なんw」編~

中学硬式野球をテーマにしてきた「野球少年の居場所」に小学生の登場です。高円宮賜杯全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントが8月15~22日まで、明治神宮球場など都内の各球場で行われました。予選を勝ち抜いた各都道府県の代表を中心に、全国51チームが出場。その中に、私の実家がある岡山県里庄町から里庄(さとしょう)町少年野球クラブが2年連続でやってきました。高校の同期生、学童野球監督時代の教え子に続く、私的な話題か? いやいや、注目のキーワードを秘めた子どもたちを、前後編で紹介します。

その他野球

里庄町少年野球クラブ

岡山県代表として堂々行進する里庄町少年野球クラブ

岡山県代表として堂々行進する里庄町少年野球クラブ

開会式は8月15日午後5時から行われた。多くのチームがこの日の午前中に上京した

開会式は8月15日午後5時から行われた。多くのチームがこの日の午前中に上京した

里庄町少年野球クラブが今年も東京にやってくる! 朗報はチームの公式インスタグラムで知った。

しばらくすると、遠征費を集めるためのクラウドファウンディングが始まる。ボーナス直後だからついつい弾んでしまうのもあるが、わがふるさとの野球少年を応援せずにはいられなくなる。

浅口郡里庄町は岡山の南西部、JR山陽本線で岡山から下って約40分、里庄-笠岡と通過すれば、広島県福山市に入っていく、県境に近い人口1万1000人の小さな町だ。

隣の笠岡市は離島の北木島が漫才コンビ「千鳥」大悟(44)の故郷として知られる。

里庄町は、ミュージシャンの藤井風(27)の故郷だ。デビューまで生活した彼の実家で、ご両親が経営した喫茶店「未茶夢(みっちゃむ)」。現在は閉店しているが、お父さんの勧めで音楽と出会い、小学生のころから自宅で演奏した動画をYouTubeで発信して、世界的に注目されるようになった。

「ミッチャムにはようモーニングを食べに行きよりました(※行ってました=岡山弁、以下同)。2階からピアノの音がしてねえ。風くんが演奏しようりました(※していました)」と語るのは小野正太郎監督(49)。彼の実家はミッチャムの4軒隣の「小野酒店」で、風くんを子どものころから知っている。

昨年の大会は選手宣誓の大役を任された

昨年の大会は選手宣誓の大役を任された

1回戦、あいさつのため本塁へダッシュする選手たち

1回戦、あいさつのため本塁へダッシュする選手たち

みんなご近所さん

小野監督は里庄中学校野球部の私の後輩で、小野酒店は私の実家からも一番近い商店で、昔から食品やお惣菜を買いに行っていた。正太郎少年については、彼が中学時代に、私が帰省した際、里庄中のマウンドで小気味のいい投球をしていた姿を覚えている

私が小学生の頃、近くに少年野球チームはなく、子どもたちはソフトボールを、野球は中学校の部活動で軟球から始めるのが普通だった。

45年前の野球事情を思えば、2年連続で「小学生の甲子園」とされるマクドナルド・トーナメントにやってくるとは、想像を絶する快挙だ。

昨年は都合で見に行けなかったが、1回戦で東京王者のレッドサンズに0-4で敗れた。後日、4強に進出したレッドサンズの関係者に聞くと「点差ほど力の差はなかった」との評価をいただいた。今年こそ! の期待が高まった。

1回戦から強豪と対戦

8月15日に神宮球場で開会式が行われ、初戦が予定された16日は雨天順延。練習場所がなく、宿舎近くの東京ドームのバッティングセンターなどで調整して迎えた1回戦。相手の茎崎ファイターズ(茨城)は2018年(令元)の準優勝から開催5大会で4度出場の強豪だ。

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編集委員

久我悟Satoru Kuga

Okayama

1967年生まれ、岡山県出身。1990年入社。
整理部を経て93年秋から芸能記者、98年秋から野球記者に。西武、メジャーリーグ、高校野球などを取材して、2005年に球団1年目の楽天の97敗を見届けたのを最後に芸能デスクに。
静岡支局長、文化社会部長を務め、最近は中学硬式野球の特集ページを編集している。