全日本実業団対抗女子駅伝は27日、宮城県松島町文化観光交流館前~仙台市陸上競技場の6区間42・195キロで行われる。前回2位の豊田自動織機、初優勝を狙うヤマダ電機が2強と言われているが、第一生命、ユニバーサルエンターテインメント、3連勝中のデンソーなども優勝をねらえるチャンスは十分にある。

【1区(7・0キロ)】一斉スタートのためトラックのスピードランナーが多く起用されるが、上り下りが続くため力強さも求められる。ヤマダ電機は西原加純か竹地志帆、豊田自動織機は福田有以の起用が有力。第一生命は前回同様、田中華絵が起用される公算が高い。区間賞候補はこの3人に加え、前回6区区間賞の積水化学の森智香子、予選会1区区間賞の十八銀行の前川晴菜、予選会区間2位の資生堂の竹中理沙ら。予選会は前川と、ワコールの一山麻緒が序盤からハイペースに持ち込んだが、起伏の多いこのコースでは、後半の上りで勝負に出る選手が多い。

【2区(3・9キロ)】距離が短いこともありトラックのスピードランナーが多く起用される。積水化学はリオ五輪5000メートル代表の尾西美咲の出場が濃厚で、この区間で抜け出したい。とはいえ尾西は自身でも「駅伝は苦手」と話すようにトラックのような強さを発揮できていない。そのため他チームがトップに立つ可能性も十分にある。日本選手権1500メートル優勝のユニバーサルエンターテインメント木村友香、同3位の第一生命の飯野摩耶、予選会2区区間賞の三井住友海上の田辺美咲らも区間賞候補。日本郵政グループがリオ五輪5000メートルに出場した鈴木亜由子を起用すれば、故障明けとはいえ一気に順位を上げる走りが期待できる。

【3区(10・9キロ)】最長区間に各チームのエースがそろう。リオ五輪1万メートル代表の資生堂の高島由香(今季デンソーから移籍)が、3年連続区間賞を狙う。後半の選手層が薄くなる資生堂としては竹中と高島でできるだけリードを奪いたい。第一生命は上原美幸、日本郵政グループは関根花観とリオ五輪代表の出場が予想される。この両チームもここでトップに立ちたい。積水化学は松崎璃子が有力。好不調の波のある選手だが、調子が良ければ五輪代表組に対抗できる。豊田自動織機は前回5区区間賞の横江里沙、ヤマダ電機は急成長中の石井寿美の出場が有力。この2チームは後半にも戦力を残しているので、トップとのタイム差を小さくとどめることが重要になる。ユニバーサルは昨年の北京世界陸上5000メートル代表だった鷲見梓沙が、故障からの復帰戦となる。2年連続9位のホクレンはエース清水美穂の復調がシード権(8位以内)獲得を左右する。ワコールはリオ五輪マラソン代表だった福士加代子が、“トラックの女王”と言われていた頃のスピードを、駅伝を利用して取り戻そうとしている。3連勝中のデンソーは水口侑子か光延友希が任されそう。この区間を持ちこたえれば、後半区間に希望をつなぐことができる。

【4区(3・6キロ)】コース最短で、外国人選手の起用が認められている区間。豊田自動織機のカリンジが絶好調で、トップに立つ可能性が大きい。ユニバーサルのワンジュク、デンソーのワイリムも好調。アフリカ人選手がいないヤマダ電機、第一生命グループ、積水化学が、この区間をどうしのぐか。

【5区(10・0キロ)】後半のエース区間。ヤマダ電機は西原か竹地が起用されると思われるが、国体3位の筒井咲帆も調子を上げている。豊田自動織機は林田みさきか沼田未知が任されそう。積水化学も4区終了時の位置次第では、初マラソンで好走した桑原彩でトップに立つ可能性がある。前回はダイハツの木崎良子、天満屋の重友梨佐、TOTOの早川英里といった近年のマラソンで活躍している選手たちが出場した。その一方で、横江(豊田自動織機)や石井(ヤマダ電機)さらにはユニバーサルの和久夢来らの若手も区間上位に名を連ねた。今年はリオ五輪マラソン代表の田中智美(第一生命)がこの区間で出場する可能性もある。マラソンランナーが勝つか、若手スピードランナーが勝つか、その点に注目するのも面白い。

【6区(6・795キロ)】各チームの選手層の厚さが問われる区間。デンソーは前回、橋本奈海が区間賞で3連覇に花を添えた。ヤマダ電機は5区が筒井なら、6区には西原を配置することもできる。西原はラストに強い選手だけに、追いついて並走に持ち込めば勝機は大きくなる。それに対して豊田自動織機は沼田か林田。対ヤマダ電機を考えると、5区でトップに立って逃げ切りたいパターンだ。デンソーの層の厚さは相変わらずで、橋本か新人の倉岡奈々あたりが区間賞の走りで底力を見せられれば、89年~92年のワコール以来となる4連覇も見えてくる。