公務員ランナー川内優輝(26=埼玉県庁)が20日、苦手の夏マラソンに不退転の決意で臨むことを、あらためて口にした。この日、モスクワから成田空港に帰国。3年後のリオデジャネイロ五輪に向けた代表選考のスタートとなる12月の福岡国際に向け、全力を注ぐ決意を語った。
落胆を隠し、敗因を理路整然と説明した川内が、ある部分だけ口ごもった。今後、世界を目指す指針について聞かれた時だ。
川内
まず、福岡で。福岡で勝てないようなら…。得意の冬でも勝てないようなら…。アジア大会を決められなかったら…。
ここまで言うと、言葉を発するかわりに何度も首を縦に振った。11日の出発時に波紋を呼んだ、五輪や世界選手権を含めた夏マラソンの「進退」。のど元まで出かかった2文字を、かみ殺したことは察しがつく。
川内が言う12月の福岡国際は、来年9月のアジア大会(韓国・仁川)の代表選考会の1つ。来年の東京、びわ湖と合わせ、各大会日本人3位以内から選考される。アジア大会で優勝すれば、2年後の北京世界選手権の代表に内定。さらに北京の日本人最上位入賞者はリオ五輪代表に決まる。
これが最速ルート。仮に福岡国際で日本人4位以下でも、五輪への道はいくつもある。だが川内は、あえて退路を断つ。公務との兼ね合いはハンディだが、スタイルは変えない。2時間15分35秒で順位は前回と同じ18位。モスクワの悲劇を歓喜に変えるまで、公務員ランナーは挑戦を続ける。