トップ選手がアクションカメラとともに競技にトライする企画「アスリートの視線~GoPro動画より~」。第6回は飛び込み五輪代表内定の三上紗也可(米子DC)。昨年世界選手権女子3メートル板飛び込みで日本勢初の5位になった19歳は、わずか2秒弱の間に瞬時の判断を繰り返して、水しぶきなしのノースプラッシュを追求する。そこには普段、絶対に見ることができない景色があった。【取材・構成=益田一弘】
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三上は頭にGoProをつけて、高さ3メートルにあるジェラルミン製の板を弾ませて飛んだ。103B(前宙返り1回転半えび型)と403B(後ろ踏み切り前宙返り1回半えび型)。試合より技の難度を落としても、めまぐるしく変わる景色。わずか2秒弱の間に決断の連続がある。
(1)水面の確認 空中演技が終わると一瞬だけ水面を視界に捉える。「回転をといた時、パッと見て、自分の体が今どういう位置にあるかを知る」。理想は水面に対して垂直に向かう位置。水面の見え方で、自分の状態を感覚的に判断する。
(2)入水の方向 組んだ両手を水平に構えて、水に当たった感触で自分の体が前後のどちらに傾いているか、理解する。水しぶきを上げないように水中に入った時に体を前に流すのか、後ろに流すのか、を決める。
(3)両手で空間を作る 飛び込んだ際、最初に着水する両手で水を左右にかき分け、そこにできる空間に頭から体を滑り込ませる。動きのイメージだが、ノースプラッシュに欠かせない。
「踏み切りも大事なので、板のポイントは外さないように飛びます」。試合では回転数を3回半にしたり、ひねりを加えたりする技を使う。2秒弱にトップ選手のすごみが凝縮されている。
◆三上紗也可(みかみ・さやか)2000年(平12)12月8日、鳥取県生まれ。小2から競技を始める。18年9月に日本選手権初優勝。19年世界選手権で日本勢初の5位入賞で東京五輪代表に内定。世界で数人しか使い手がいない大技の「5154B(前宙返り2回半2回ひねりえび型)」を持つ。155センチ、53キロ。
◆GoPro(ゴープロ) 米国発祥の小型デジタルビデオカメラ。縦5センチ、横6センチ、厚さ2センチ程度のサイズで防水性が高く、振動に強い。体に装着できる「ウエアラブルカメラ」で迫力ある映像が撮影できる。サーフィン、自転車、スキーなどの動画撮影が有名。