<全国高校バスケット選抜優勝大会:桜花学園88-79聖カタリナ女>◇6日目◇28日◇女子決勝◇広島グリーンアリーナ
総体覇者の桜花学園(愛知)が聖カタリナ女(愛媛)を破り、3年ぶり18度目の優勝を果たし2冠を達成した。けが人に苦しんだが、エース河村美幸(3年)が40得点を挙げ粘る相手を突き放した。
河村をはじめ3年生の右手に書かれた「日本一」達成の瞬間、ベンチはガッツポーズで笑顔を爆発させ、河村は床に泣き崩れたガード森田菜奈枝(2年)をくしゃくしゃの笑顔で抱えた。
満身創痍(そうい)だった。点の取れるガード山田愛(3年)が10月に右膝の前十字靱帯(じんたい)を断裂し、全治8カ月。大会中、入院中の病院から「落ち着いてやれば大丈夫」とメッセージを送りチームを鼓舞した。
代わりにガードを務めた森田は3回戦岐阜女戦で歯を折る重傷を負ったが「周りに迷惑は掛けられない」と1試合も欠場せずにプレーし「前より歯の形が良くなった」とみんなを笑わせた。
試合を決めた第4クオーター(Q)、折れた歯のそばにファウルを受け倒れたものの、フリースローを6本中6本決め、優勝を手繰り寄せた。森田は「国体の時、自分のフリースローで負けたので、気持ちでねじ込んだ」と話した。
大黒柱の河村も左肘の骨と関節を11月に痛め入院し、チーム合流は大会直前だった。左腕にテーピングをした河村は「ぶっつけ本番での大会だったが、みんなの力で優勝できたので、すごくうれしいです」と話した。
山田の不在で攻撃力の低下が心配されたが、それをカバーするためにディフェンスに力を入れた。井上真一コーチ(66)は「相手のスリーポイントを止めたのが一番」と勝因を分析した。
チームは高校2冠を引っさげ、来年1月1日開幕する全日本総合選手権に出場する。来春日本リーグのシャンソン化粧品入りする河村は「やるからには勝ちたい。富士通とやりたい」とベスト8進出を目標に掲げた。【松屋圭祐】